領主は無能
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「という訳でな。なんかジーデンス子爵家の5男が出てきたぞ。まあ、死なない程度に叩きのめしたが。名前は忘れた」
「はぁぁぁぁあああああ……。まあ、あの大馬鹿が出てきたのは仕方がないか。手紙の8割はあいつからだったしな。平民風情が分不相応なソウルメイトを持っている奴隷を連れているからこっちに寄こせと言っていたのは大体あいつだ。無視しても良いぞ。寧ろ殺しても良いぞ。冒険者ギルドとしても、あいつを殺したくらいでは何も言わん。流石に嫡男となると厳しいが、あれを殺しても良い事はジーデンス子爵家からも言われているからな。寧ろ殺してやった方がジーデンス子爵家としても得なんじゃないか?」
「そこまで言うのか……。まあ、あの大馬鹿野郎が領主にならないだけマシか。今代当主はまともな人なのか? その辺は全く知らないんだ」
「いや? 今代当主も碌でもない奴だが? 税金の負担を重くしたり、必要も無いのに美術品を買い付けたりな。冒険者ギルドとしてはお得意様だが、平民からは良く思われていないんじゃないか?」
「そうなのか? モーデミル村出身だが、そこまで重税には思わなかったんだが……」
「そりゃそうだ。法衣貴族の奴らが頑張っているからな。抜け道を作ったり、必要ないものを見計らって売るようにしたりして、色々と頑張っているのは法衣貴族の方だ。というか、お前は戦力を持っているんだから、国に直訴したらどうだ? 子爵家くらいなら潰せると思うぞ?」
「俺がそこまでしなきゃいけないのか? 何の得がある?」
「貴族になり変わることが出来るぞ。とはいっても、内政なんて出来ないだろうが。そういうのは法衣貴族に任せておけば良いんだよ。お飾りでもまともな貴族になってくれた方が助かるまである。お前は前回のスタンピードの時には居たよな?」
「ああ、防衛側で参加していた。それがどうかしたか?」
「あの時の最高指揮官がジーデンス子爵だ。言いたいことは解るか?」
「ああ、はいはい。そういう事か。なるほどなあ。あれだけ苦労したのにも関わらず、拘束された時間が長いのにも関わらず、無駄に被害を出したのにも関わらず、何もしなかったのはそいつのせいか」
「殆どが冒険者ギルドの手出しだ。領主様からは半分も補填されてねえ。こう言っちゃあなんだが、上がすげ変わるだけでも助かるんだよ。放蕩貴族でも何でも良いんだ。無能を一番上に置いておくことほど、無駄なことは無いと思わないか?」
……なるほどなあ。確かに一理ある。馬鹿を上に置いておくと、碌な事にならないからな。もっとちゃんとした貴族が居てくれと言うのも解らないでもない。だが、俺が貴族になるのか? それはちょっと面倒じゃないのか? なんとなくだが、貴族って人間じゃないといけないとか、そういった縛りは無いのかね?
「俺が国に直訴したとして、どうなると思う? エルフが貴族になれると思うか?」
「……まあ、それを言われるとちょっとは思うところがある。現にこの国の貴族家は人間ばかりだ。だが、人間しか許さないという事はない。メイリア王国にも過去、エルフやドワーフが貴族をやっていたことはある。まあ、面倒になって辞めたとか、色々とあるみたいで、人間しか残ってないけどな。それでも、道はないことはない。国王に直訴するだけの戦力は持ち合わせているんだろう? そうでもなければ、ダンジョンの1000層を何度も何度も攻略するなんて無理だろうからな」
「どうだろうな。近衛クラスの戦力はあるんじゃないかとは思うが、貴族になるほどか?」
「おい、前回の話を忘れたのか? お前の奴隷は、貴族家のソウルメイトよりもSPが高いんだぞ? それが近衛クラスだと? 近衛クラスでもSPは120程度だ。それが最高戦力だ。そっちの奴隷に至っては、SP200とか言う正真正銘の化物ソウルメイトを持っているんだ。これで貴族になれなくて何って言えば良いんだ?」
「そういえばそうだったな……。貴族家でもSP150相当が関の山だったか」
「そういやお前の手持ちの召喚獣は聞いたことがないか。ソウルメイトは貧乏神だって事は解っているんだがよ。……まあ、貧乏神がソウルメイトって奴も中々見ないが」
「貧乏神は良いぞ。最強のデバフ要員だ。その分資金の消費が激しいが。それと手持ちに関しては、ゴブリン、道化師、ゲイズリッチ、天狐、フレスベルグ、モリグナ、件だ」
「……天狐までは聞いたことがあるな。天狐もそうそう見ないが。良い回復役だったよな? しかも金回りが良くなったはずだ。ただ、ゴブリンが居るのが解せないが」
「ゴブリンだって強化次第だ。ゴブリンの+は1000を超えているからな。HPだけでも4桁は普通にある。レベルも上げているから、相当なHPを誇るぞ?」
「……何でそんなにゴブリンが強いんだ? まあ、良いか。簡単にで良い。フレスベルグ、モリグナ、件について教えてくれるか? ああ、話せるところまででいいぞ。秘密はあるだろうからな」
「フレスベルグは普通の時は170㎝くらいなんだが、巨大化のスキルを持っている。大きくなった場合は、500㎝を超えるな。SPは161だ。アンデッドに強い召喚獣で、俺の移動手段でもある。鳥型の召喚獣なんだ。空を飛んで移動をしている。モリグナはモリガン、ヴァハ、ネヴァンの3体からなる召喚獣だ。SPは181。こっちもアンデッドに対して特効持ちだ。魔法、物理両方いける感じだな。件はバフをメインに使う召喚獣だ。SPは189。俺の手持ちの召喚獣では一番SPが高い。そんな所か」
「ちょっと待て。モリグナはどういうことだ? 3体で1体になるのか?」
「そうだ。それと3体はHPを共有していないから、実質HPは3倍だ。それと、1体がやられたとしても、2体が無事なら復活できる能力も持っている」
「はあ!? なんだその召喚獣は!? 反則だろ!?」
と言ってもな。割とこういう女神は多かったりするんだが……。男神も居るし、なんなら兄弟で1体なんて例もある。数は力というのが普通の考え方なら、もっとやばめな召喚獣も居るんだが……。まあ、件よりもチートな召喚獣は中々いないとは思うが。天照大神は、拠点を守ることに関しては最強格だからな。日本神話の最高神だけある。その他の神話系もおかしな能力をしているんだけどな。
「対になる召喚獣や三位一体の召喚獣は居るだろう? ……殆どがSP150を超えていると思うが」
「……そうか。転生者だったな。転生者って事は何か? 昔はもっとやばい召喚獣だらけだったって事か? 遺跡に居る奴らが標準となると、今はどんだけ弱くなったんだよって話でしかないわな……」
「まあ、過去の方が強いのは確かだな。ただ、それでも全員が強かったわけではない。ちゃんと生産職の召喚獣も居るし、その手の職業の人を手厚くする保護もあった。今はあるのか?」
「……ジーデンス子爵家にそれを求めても良いと思うか?」
「いや、すまん。忘れてくれ。……しかし、そうか。生産職も碌に召喚獣を使いこなしていないのか?」
「寧ろ生産職に召喚獣は必要なのか?」
「農業を例に取っても、ゴブリンやミノタウロスなんかの力のある労働力は必要だろう? それと同じように、裁縫が得意な召喚獣も居たり、鍛冶が得意な召喚獣も居る。そういうのを代々引きついで行けば、生産職も結構な仕事が出来る筈なんだが?」
「……なあ、おまえさん。転生前は貴族様だったんじゃないのか? そこまでの知識があるなら、ちょっと王都に行って、ジーデンス子爵家を引き落としてくれないか? そうしたら、もう少しまともな地方になるぞ?」
貴族か……。なっても良いが、仕事は全部他の法衣貴族に任せることになるが、良いんだろうかね? 良いのであれば、潰してしまっても構わないんじゃないか?




