2話 異世界
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません
あれからどれぐらいの時間がたったんだろう。意識はなくなっている。
僕は夢を見ていた。子供のころの夢だったような気がする。でも少し違う。最初に母さんが出てきた。2年前に死んだ母さん、、、。亡くなったのは高校受験期だったっけ、、妹が泣いていたな、、その時からだったか、、妹は僕が守ると決心したのは。父は物心ついたときには別の女と駆け落ちしていたらしい。それから母と僕たちは祖母の家で暮らしていた。
その次に出てきたのは、辰己と真衣だ、、。この二人は僕が保育園にいたころからの友人だ。僕が困ったとき、ふたりはいつも助けてくれた。本当にありがとう、、、いやまて、、なんで最終回みたいな回想の仕方なんだ僕は、、。
そして最後に出てきた女性は、、、知らない人だ。なんだろう。でもみたことがあるような気がする、、、どこでだろう。思い出せない、、、。そう思っていた時、、、誰かの声が聞こえる。
「おい、、!大丈夫か、、!」
眩しい、、。「天国、、?」
「何言ってんだお前?天国じゃねぇぞ?頭ぼーっとしてんじゃないか、、?
そこにはさっきの少女と同じような服を着た恐らく30代ぐらいの男がいた。僕はベッドの上にいる。
「あなたは、、?」
「おいおい!まずは自分から名乗るべきだろうがよう!」男は言った。
「あっ、、!すみません、、!進藤枢です!多分助けてくれたんですよね!ありがとうございます、、。」
「おうよ、化けの森でお前ぶっ倒れててな、、ここまでおめぇを背負ってきたってわけよ!そうか!シンドゥーか!いい名前だな、、!」すごく声の大きい男性だ、、、そういえばここは異世界なのか、、あの少女がいうことが本当なら、、おそらく本当だろうけど。あの化け物が演出なわけねぇもんな、、。
「おっ、俺のほうが名乗ってなかったな!俺の名前はダルマシオ・トルエバ!この町で鍛冶屋をやってんだ!気軽にダルさんってよんでくれや!」ダルマシオと名乗った男は袋を取り出す。「お前この筆とネックレスを大事そうに持ってたからよ。この袋に入れて持ってたほうがいいんじゃねぇかな。」と言って僕に袋を差し出す。「ありがとうございます、、、」あっ、、そうだ、、あの少女に何すればいいか聞いていなかった。
「死なないでね」か、、。あの少女は生き残ったんだろうか。
「あなた、助けてきた男の子は起きたの?」女の人の声だ。
「おうっ!ヘリア!おきたぞ!」へリアと呼ばれた女性は僕に服を差し出す。「ごめんねぇ、、これ息子が昔着てたやつなんだけど、、その、、あなたの服、、ちょっと変わってるじゃない?だからこれあげるわ。ちゃんと洗ってるから大丈夫なはずよ。」
そうか。学校帰りそのままこれに巻き込まれてしまったから制服のままだったんだ、、。
「あ、ありがとうございます。確かに変な服ですよね。僕もそう思ってたんですよね、、はは、、僕もう行きますね、、!」ぼくはそそくさと外に出ていこうとした。「お、おいまて!お前!金持ってないだろ!これもってけ!」ダルマシオさんがぼくにりんごのような果実を渡す。「腹減ったら食え!あと少しばかり金いれといたからあとで返すのでいいぞー!」え、あ、そんなのいいのに、、。とは思ったが確かに今この世界のお金は持っていない。借りておくか、、。
「ありがとうございます、、なんかいろいろと、、!」
僕は奥さんに渡された服を着てそのまま外に出た。
しかし、、外に出たはいいものの何をすればいいんだろう・・・。なんかよくわかんないうちに異世界にいるし・・・よく考えたらなんか言葉通じるし・・。もしかしてこれは質の悪い夢なんじゃないか、、、?
と思い僕は自分の頬を引っ張ってみる。
「痛い・・・。」
残念ながら夢ではなかった。こうなりゃあ仕方ない。これから何かするか考えなくては・・・。
そういえばあの謎の少女にネックレスをもらっていたな。
僕はダルマシオさんからもらった袋の中からネックレスを取り出す。
ネックレスには緋色の宝石がついている。RPGの定石的に考えると、、これを王様に見せると物語が進むという展開をよく見る気がする。とりあえずここは城下町っぽいし城まで行ってみよう。
そして、僕は城に向かって歩き始めた。
そして十数分後、僕は城の前にたどり着いた。城門の前には門番が二人いる。門番に話しかけてみようか。どうやって話しかけようか。普通にこのネックレス見せたいから王と面会させてくれとストレートに話してみるか、、。うん、そうしよう。単刀直入に言おう。そして僕は門番のほうに向かっていく。
「あのぉ、、、。」僕はゆっくりと門番に話しかける。
「なんだお前は、、!」門番の一人が訝し気にこたえる。
僕は門番の勢いにのまれそうになったが勇気を出して話した。
「王様と面会をしたい!許可をいただきたく参上した!」思った以上に早口になってしまった、、。
「ふっ、、!お前がフェルナンド様にだと、、?お前のような平民が・・?」
た、たしかに・・!急に平民が王と面会したいって言ってきてるんだもんな、、普通はドラクエ、FFみたいにすぐ面会できるわけないじゃないか。
「ですよね~、いや冗談ですよ~。すみませんね・・・。」
ほかの方法を考えよう、、、。そうするしかない。
「言っていい冗談と悪い冗談がある・・。次そのようなことを言うと斬り捨てるぞ!」
僕は門番にしっかりと謝り,城門から離れる。
しかしその僕を陰から見ている者たちがいたことをこの時の僕にきづくことはできなかった・・・。
つづく
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