1話 進藤枢と謎の少女
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません
「僕と・・・付き合ってください!」
校舎裏に僕の声が響き渡る。
「ごめんなさい・・やっぱり、、進藤くんのことは友達としてしか見れない・・・。」
フラれた、、、今回はイケると思っていたのに、、。
「あ、うん、そうだね。じゃあ友達でいよう。」正直泣きそうだったのを堪えて僕はそう言った。
また僕の恋愛戦歴に黒星がついた・・・(白星なんてついたことないけど。)
彼女がいなくなるのを見届けてから僕はトボトボと帰路につこうとした。すると物陰から何者かが現れた。
「よう!枢!またフラれたみたいだな!」彼の名前は室野辰己。僕のクラスメイトだ。
「どこから聞きつけてきたんだよ、、」
彼は僕が何をするにもすぐ噂を聞きつけてやってくる。いつもその噂の出どころがよくわからないのだが。
「どこってお前、今日お前一日ずっと上の空だったぜ?こういう時は絶対裏がある!そう思って放課後つけてきたってわけよ!」と辰己は自信満々に言う。
「んで、僕の今の惨めな姿を目撃して今に至るってわけか。」
「そゆこと。でさ!これからファミレス行かね?お前の慰め会も兼ねてさ!」
「そゆことってお前、、まぁいいや。どうせ暇だし。」正直彼の性格は僕にとってかなり助かる。つけてくるのはどうかと思うが。
「オッケー!じゃあそのまま行こう!奢ってやるよ!ドリンクバーだけな!先行ってるぜ!」そういうと辰己は行ってしまった。
そういえば自己紹介をしていなかった。僕の名前は進藤枢。どこにでもいる普通の高校生、、っていう紹介はありきたりだね。つまり特筆すべきことはないただの男子高校生ってことだ。そしてさっき見ての通りモテない。人生の中で告白されたことも告白に成功したこともない。なんか言ってて悲しくなってくるからやめよう。
そして僕はゆっくりとファミレスへと向かっていった。
約30分後、僕はファミレスにつき、ファミレスの中にはいっていった。
ファミレスの中には辰己とクラスメイトの小野真衣がいた。
「なんでおまえもいるんだよ、、」
「幼なじみが傷心中って聞いてね。あたしがきてやったってわけさ」
そう、この二人は僕が小学生のころからの同級生であり幼なじみなのである。ぼくにとって数少ない友達である。
「どうもありがとうね・・・。」といい僕は椅子に座る。
「最近噂なんだけどさ、隣のクラスの田中君いるじゃない?」と真衣が話しはじめる。
「急だな、ていうか田中っていっぱいいるだろどの田中だ?」辰己は訝しげに聞く。
「太郎君だよ。田中太郎。」たしかにきいたことがある。僕が初めてその名前を聞いたとき(ものすごいありきたりな名前だな・・・」と思ったことを思い出した。
「んでんで!ここからが大事なんだけどさ、、!その田中君に好きな人がいるらしいんだけどさ、その好きな子が、、、!」
あんま知らない人の好きな人のことなんかどうでもいい。辰己はたのしそうだが。
「進藤美海ちゃんなんだよ!」
「ん???ちょっとまて。聞き間違いかな?今進藤美海って聞こえたんだが。」
進藤美海は僕の妹の名前だ。
「まちがってないよ?田中君は君の妹が好きなんだって!」
「まぁわかるぜ?お前相当シスコンだもんな、、。」
「シ、シスコンじゃねぇよ!妹が大事なだけだ!ていうかそれまじか!?」
あんまり知らないやつだけど妹に好意を寄せていたとは、。
「そしてその田中君が明日美海ちゃんを校舎裏に呼んだのを今日聞いちゃったんだよ!」
「な、なんだと、、、!?」まじかよ、、。いきなりクライマックスじゃねぇか、、!ていうか僕さっきその校舎裏で振られたばっかなんだぞ!今その話するか、、!?
「あのよあのよ!じゃあ明日それみにいってみようぜ!お前もそれのほうが納得できんだろ?」
「うーん、、、わかった!明日みにいこう、、、」なんか見に行くことになってしまった、、。妹に何かあるかもしれんしな!うん!そうだな!
そして僕たちはそれから30分ぐらい話していた。そして3人でファミレスの外に出て歩いていた。
「じゃあ私はこっちだから~」真衣がそう言い帰路に就く。
「ほんじゃ俺も帰んな~」辰己も帰っていった。
そして僕は一人で夜道を歩いていた
その時、
「勇者様、、!やっと見つけました、、、!」少女が急に話しかけてきた。
「え?」謎の少女は僕の手をつかむ。変な服を着ている。夢と現実の区別がつかなくなったコスプレイヤーか、、?それとも新手の美人局か、、!?
「勇者様!ここは危険です!帝国の魔物がこちらに来ています、、!」少女は僕の手をつかみ走り出そうとする。
「あっ、、ちょっとまってよ!君はだれなんだよ!」
「今はそのような話をしている場合ではありません、、!」
その瞬間、
がんっ、、、!
なんだこの音、、!
「まずい、、もう魔物が来てしまったの、、?」
魔物、、?まさか、、。僕は後ろを振り向く。そこには4mぐらいの犬の化け物がいた。犬というわけではなく翼がはえていた。これはさすがにこの謎の少女の言うことを信じるしかない。
「帝国はキメラをよこしてきたの、、!」少女は僕の腕をつかむ力を強めて言う。
「いきますよ、、!振り落とされないようにしてくださいね、、!」
「え?」びゅうん!
少女はものすごいスピードで走り始める。景色が一瞬で過ぎ去っていく。
「ぎゃおおおおおおおん!」同じぐらいのスピードで化け物も迫ってくる。
「少し待っててくださいね勇者様、、!キメラを足止めしないことには、、!灼熱の炎よ、燃え上がれ。我が手に宿り、敵を焼き尽くせ。烈火よ、燃え盛れ!炎煌!」少女の手から炎の球が放たれた。化け物の頭部に当たる。
「ぐぎゃ、、!」化け物はうろたえる。
「今です、、!」少女はまた走り出す。僕は怖すぎてずっと目を閉じていた。
「つきましたよ。」僕はゆっくりと目を開ける。
「ここって、、校舎裏の池じゃないか」うちの校舎裏には池がある。昼間に僕が振られたのもそこなのだが・・・。
その時、、、。
「おいおいおいおいおい!みつけちまったかよぉ!王国は勇者をよぉ!」
だれだ、、?
「帝国の将軍、、、!来ていたか、、!」
将軍と呼ばれた男は校舎の上で笑っている。そして男は言う。
「海よ、我が声を聞け。波となり、敵を打ち砕け。叱咤、波の力よ!水波!」
男の手から水の波がでる。
「まずい!炎煌!」少女も炎の呪文で対抗する。しかし水の魔法には勝てていない。
「やっぱり無詠唱では、、!」無詠唱では呪文の力が減るようだ。
「ここで殺しておこうか。どうせ‘‘魔女‘‘探しの障壁になるだろうしな、、!」
まじか、、、!僕ここで死ぬのか、、?
「これをもって!」少女は僕に筆とネックレスを渡す。
「え!?」
「どうか、、死なないで。」
少女は僕の体をぐいっ!と押す。
うわっ!僕の体は池の中に落ちる。
ぼちゃんっ!
池の中に落ちながら僕は思う。
あの少女、、、。大丈夫だろうか・・。
そう思いながら僕の意識は遠のいて、、、そして意識を失った。
つづく
読んでいただきありがとうございます。
次回も読んでいただけたらとてもうれしいです。