1.カズ君、これって-ん? これは……-
全44話予定です
読んでくださって本当にありがとうございます!
レイドライバー 1から8 を読んでいない方は、お手数ですがそちらをお読みになってから今作をお読みくださいませ(今作は、前作からの続きものになります)
作者ページからご覧になれます↓
https://mypage.syosetu.com/2478453/
実は、もう一つの並行世界線という事で、登場人物が同じヒューマンシリーズという作品群を寄稿しています(全て完結済みです)
もしかしたらこの時間軸を歩んでいたかも、という話です(正確にはヒューマンシリーズがあってからのレイドライバーシリーズなのですが、ヒューマンシリーズは読まなくても話は繋がります)
もしよければこちらも読んで頂けるととても嬉しいです!
ヒューマン 1 -繰り返される事件と繰り返す時間遡行-
https://ncode.syosetu.com/n2996hx/
ヒューマン 2 -再び繰り返される事件と再び繰り返す時間遡行-
https://ncode.syosetu.com/n8320hy/
【R-18】ヒューマン 3 -時間遡行によってもたらされたものは-(これだけR-18なので作者ページに載っていません)
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https://twitter.com/JohnD_72
曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップする予定です(例外あり)
※特に告知していなければ毎日投稿です
1話が大体1500文字前後ですので、少々読み足りないかもしれませんが、スキマ時間にでも読んでくださるととても嬉しいです!
それはレイドライバーに乗ってゼロゼロと[昨日は眠れたのか]という雑談をしていた時に舞い込んで来た。
「カズ君、これって」
そう言ってゼロゼロがたった今受信したログを見せる。
そこにはカズと日本人研究者しか知らない特定の言葉が入っていた。
「拝啓、時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます」
暗号化されたものを復号化した文章の見出しにはそうなっていた。
それは日本人が関係しているであろう事に由来している。挨拶分というのはどの国にもあるが、日本のように複雑怪奇なものはそんなに多くない。そして復号してローマ字打ちでそう変換されるという事は、暗号文を送った[送り主]が、日本語を理解出来て暗号化も復号できる[相手]に何かを訴えかけている、という事になるのだ。
――あの二人が何か掴んだのか? 離反や脅されている可能性は……。
と考えたが、忠誠を誓ったあの日以来二人は一度たりともカズを裏切ったり、カズの命令に背いた事は無い。
それが例えちょっとしたカズのいたずら心であったとしても、二人はその命令に真剣に向き合ったし、向き合い続けるのだ。
ある時に二人呼んだ際、
「二人に命ずる。研究所職員のいるところでは普通の研究者という関係を、二人でいる時は恋人の関係をするんだ。くれぐれも他の職員には気取られないようにね」
そう告げた事があった。
二人にだって家族はいるし、それはカズも同じだが友人、恋人の類も日本に置いてきた。今は解放されたとはいえ、当時の日本政府はそれだけ手を速く回して[保護]の名の元関係者の友人や親族を拘束していったのだから。
カズは所長になって閲覧制限がなくなってからは全職員の家族構成や行動履歴に目を通していた。もちろん残った日本人二人についてもカズはあらかじめ情報を入手して精査していた。それによると、二人のうち男の方は独り身の、家族四人、両親と兄という構成で、友人関係は特に深いものは無く、やる事もなかったのか一人研究所に泊まり込んでいた、というデータがあった。
問題は山菱公美の方である。
家族三人、つまり両親と本人という構成で、友人関係は確保された者は数名程度なのだが、問題は結婚を誓った彼氏がいる、という事である。
――鬼、悪魔と罵ってくれていいよ。
カズはそんな事を思った記憶がある。
実際、どうしてそんな酷い事を言ったのか。それはカズが接している研究、というものが大きく関係している、といっていい。何しろ人の生き死にに関係するものなのだ。それもただ単に生き死にだけではない、被検体によっては[死ぬよりつらい]事をさんざんされた上で廃棄される、なんて事もあるくらいなのだから。
だからと言って[死ぬよりつらい]事を暗に強いてもそれはただの憂さ晴らしでしかない。カズがそんないたずら心を出した理由。それは[そんなに酷い事をされても忠誠は曲げない]という決意が見たかったのだ。
事実、二人にそう言った時、男の方、つまり寺武由紀は少し戸惑ったような表情であったが、公美の方は表情を変えずに泣いていた記憶がある。
しかし、二人にとって[何故、どうして]は許されていない。唯一許されているのは首を縦に振る事と[分かりました、ご主人様]という言葉だけなのだ。
二人ともの口からはついぞ[何故、どうして]の言葉は発せられなかった。その代わり[分かりました、ご主人様]の一言だけが返って来たのだ。
そんな酷い事をされた二人だったが、この、ある意味[異常が日常]の研究所暮らしで少し考え方が変わった、というのはあるのかも知れない。
一か月後に再び所長室に呼び出した際には、
「秘密裏にではありますが、二人とも本当に付き合う事にしました」
そう言って手を握っていたのだから。そんな女にカズは、
「彼氏はいいのかい?」
とわざと公美に聞いた記憶がある。 その返答は、
「ご主人様にして頂いた事ですから全て受け入れます。私の、いえ私たちの身も心も全て貴方様のものです」
とまで言わせるくらいにはなっていたし、はにかんだその顔は真に恋人を得た人間のそれであった。
その二人がカズを裏切る理由。そんなものは見つからない。その二人からだろうと思われる文章が送られてきたのだ。
直ぐに、
「研究所のどのセクションか分かる?」
とゼロゼロに聞く。と、それは、
「いわゆる研究所が使っている無線機ってのは分かるんだけど、これ、出力を絞ってノイズに紛らせてあるね。ローマ字打ちという事と、暗号化が今の研究所で使っている上から更に昔の生体応用工学研究所のもので上書きされてるな、これ。って事は私たちでないとキャッチは不可能だと思う」
暗号化の技術は色々あるが、普通は単独の暗号表を使う。特殊な場合はあらかじめ予告してから使うものだ。だが、この文章は研究所が使っている暗号技術に、単純にカズたちの古巣の生体応用工学研究所のものを上書きしている。そして、カズが帰って来てからでもいいはずの通信、もしくは報告。
それだけ重要だし、人払いをして知らせたいという事なのだろうという推測が付く。
そしてそれはゼロゼロには漏れても大丈夫だ、という確信があるという事も示している。
「で、どんな内容?」
とカズが聞くと、
「読み上げるね[前所長におかれましてはご逝去の報に接し、心からお悔やみ申し上げます。現副所長におかれましては突然の悲報に接し、悲しみにたえません。どうか安らかに眠れる事を切に希望します]だって」
――ん? これは……。
全44話予定です
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レイドライバー 1から8 を読んでいない方は、お手数ですがそちらをお読みになってから今作をお読みくださいませ(今作は、前作からの続きものになります)
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実は、もう一つの並行世界線という事で、登場人物が同じヒューマンシリーズという作品群を寄稿しています(全て完結済みです)
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