神もサイコロを振る
「俺様のターン、ドロー! ――ふ、ふふ……ふははは! これで人間共を終わりにしてやるぞ! これまでに溜まった、人間共の負のエネルギーを使い、パワー10の天災カード“記録的大豪雨”発動!」
「そんな!? もうそんなカードを使える程のエネルギーが溜まっているなんて!」
「さらに、カードの特殊効果を発動! パワーをマイナス3して“大洪水”、そしてパワーをマイナス1して“土砂崩れ”をそれぞれ1枚ずつ、山札から特殊召喚! トドメに、追加でコストを支払い“土砂崩れ”をもう1つ召喚だ!」
「くぅ――このままじゃ……」
今の私の手札じゃ、土砂崩れか、洪水のどちらかしか抑えられない。
どうしたら……
先輩なら、こんな時――
『最後まで諦めない。それが、最も大切なんだよ。』
『諦めない心にこそ、希望が宿るんだ。』
――そうだった。
先輩に代わって、人間達を守るって決めたんだ。
私は――
――絶対に、諦めない!
「そーら!もうお前ごとき格下の神では、どうする事もできまい! おとなしく敗けを認め、人間共が滅び行く様を見ているが良い!」
「――……ない。」
「――ん?」
「私は負けない! 人間達を簡単に滅ぼしたがるあなた達邪神になんか――絶対に、負けないんだからぁぁぁ!」
「――ぐぅ!?なんだ、その神力は!?」
そうだ。
先輩が言っていたじゃないか。
私の強みは、人間達を守りたいって言う、誰よりも強い、気持ちだって!
「私のターン、ドロー! ――このカードなら、いける! アンチスペルカード“神々のダイスロール”発動!」
「なんだと!?」
「このカードは、10面ダイスを振って、出目以下のパワーを持つカードのスキルを無効にできる!――――ダイスロール、行けっ!」
相手のカードは、スキルを使ったためにパワーが半分まで下がってる。
確率も半分!
諦めない心で……今こそ奇跡を!
「確率は二分の一、早々当たってたまる――なん、だと!?」
「――出目は、5。 よって、相手の場にあるパワー5以下のカードのスキル効果を無効にする!」
「くそっ! 土砂崩れに2枚分のコストを払ったせいで!」
これで、相手の場に残ったのは、パワーが半減した“記録的大豪雨”1枚。
これなら!
「人間達の正のエネルギーを使って、天恵カード発動!――これで、終わりだぁぁぁ!」
「ぐぁぁ!新米ごときにこの俺様が!? くそがぁぁぁぁ!」
「あれ?すんごい雨だったのに、もう止んだな。」
「ホントだねぇ。 あ、見て!おっきな虹が出てるよ!」