表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王で勇者なアーク・マーティン  作者: 早乙女ごんぞう
一章
6/7

魔王を倒す為に

 5


 取り敢えず、今日は早めに宿に入り、明日からアークのレベル上げをする事になった。

 アークは気分転換に王都を散歩すると言って出て行き、フレンダは心配だとアークの後を追いかけて行った。

 アークとクレアの間に深い溝ができてしまった。


「クレア!なんであんな事をしたんだ!」


「なによ、急に……」


 クレアの部屋にリアムが突然入ってきた。年頃の女の部屋にノック無しに入るなど、デリカシーのかけらもない。

 だがそんな事おかまいなしというように、リアムの怒鳴り声が部屋に響く。


 クレアは突然アークに喧嘩を売った。誰が見ても分かる程の安い挑発。クレアはなぜ、アークに喧嘩を売ったのだろうか。


「なんで……」


「私達は……絶対に魔王に勝たないといけない。生半可な覚悟で着いてこられても迷惑なだけ。だから、ガルフの森に行くって言った程度で怖気付く勇者なんて、いらない」


「その事じゃない!」


 リアムの声が一段と跳ね上がる。


「俺が聞いてるのは、なんでお前は最後、本気でアークを殺そうとしたんだって事だ!」


「……」


 クレアが最後に放った一撃は、確実にアークの命を狙っていた。

 長い付き合いのリアムから見ても、クレアの行動は明らかにおかしかった様に思う。


「あいつがいくら弱くても、それはまだレベル1だからだ!それに、役に立たないから殺すってのは、魔王と同じ考え方だぞ!」


「違う!」


 クレアは大きく首を振った。そして、視線を落とす。


「先に私を殺そうとしたのはあの勇者の方」


 剣と剣を交えれば、ある程度相手の事が分かるもの。

 クレアはアークと剣を交えた時の感覚を今でも鮮明に覚えていた。

 アークから放たれる剣は、はじめから全て殺す気で放たれていた。仲間に向かって放つ攻撃では無い。


「あいつは……私を殺す気だった。レベルとか魔力は全然私より下な癖に、剣の腕に関しては、私とほぼ互角で……そこに殺意があるか、ないかの差は凄く大きく出る。こっちも殺す気でやらなきゃ、殺されてた……」


 リアムの眉間に皺がよる。もし、クレアの言っていることが本当なら……いや、クレアは昔から嘘が得意ではない。こんな事で嘘をつくなど考えられない。


 だとすればアークは、仲間を平気で殺す、とんでもない勇者なのかもしれない。

 なぜアークはクレアを殺そうとしたのだろう。

 単にクレアの挑発にイラついたから?だとすれば相当短気な性格だ。

 だが、もし他に理由があるとすれば……そちらの方が厄介だ。


「兎に角、アークが敵なのか味方なのかは、旅を続ければ分かる。今は、仲間としてやって行かないといけないんだ。魔王を……倒す為に」


「……」


「次の勇者召喚の儀式が出来るのはまだまだ先だ……あの勇者に賭けるしかない。分かるな、クレア」


 奥歯を噛み、今まで黙っていたクレアが一言、


「……分かってる」


 と言葉を捻り出した。その言葉を聞き、ほっと安堵の息をこぼすリアム。

 だがその時、部屋の扉が勢いよく開かれ、フレンダが焦った顔で入ってきた。


「勇者が……ガルフの森に!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ