お前なんかいらねぇんだよ
毎日凡庸に過ごしているとか思わない。
周りは凄い奴等で囲まれていて、何をしても、自分なりに頑張っていても、あーダメだなぁ。
勝てないなぁ。劣るなぁ。一緒にいたくないなぁ。
辞めちまえばいいのにって、そんな言葉を自分自身に言える時もある。
羨ましい生活を送る事はこれからできるんだろうか考えない。いや、まだまだ先でしょ。思ってもなかったろう。
今楽しければいいんだよ。そんなでいい。
カキーーーーーンッ
なんで上手くもないのに、野球の試合に出られたんだっけ。……思い出したくないな。6回裏、1点リードの場面でライトで出されたんだよ。
守備固めでもなんでもないんだよ。顧問が全員試合に出すと、最初に言っていたんだ。1日2試合で自分は確か、2試合共審判やらされてたんだよ(1試合目はいきなり主審だった)。ゲームは好きだったけど、リアルだとホントにキツイね。両チームから罵詈雑言。ゲームと違って簡単じゃないねぇ~。
あー、主審メチャクチャだったから、2試合目は1塁審判にされてたときはもうしょうがないなーで。それで2試合目が予想外に良い試合をしてて、6回表で2点差を引っくり返してチームが盛り上がっている時。
【あ、○○だけ試合出てねぇーや。どこにいれよう】
みたいな感じだったのを覚えてます。
【○○ー、ライト入れってよ】
そんな感じで試合に出されてた。勝ち越し打を放ったチームメイトにチェンジでベンチの戻り際に言われて、グラブを用意したのを思い出します。
試合に出たいなーって思ったけど、それはそれで出たくないなーって。
そんな流れのまま。6回裏、2アウト1塁で打球が飛んできたわけですよ。(長い回想)。
明らかにこの下手くそな自分でも、分かっていた事。打球に追いつくんですよ。
ポーーーーーーンッ
落球……逸らしもして。大慌てでボールを拾いに行く。
【何してんだ下手くそーーーー!!】
あわあわしてて、ボールを掴めなくて、中継のセカンドに送球するんだけど。これがまた大きく逸れて。
【お前なんかいらねぇんだよ!!】
逆転ランニングホームランを喰らったのを覚えてる。
7回4失点の投手に怒られまくりましたね。チームメイト全員、怒ってましたけど。当然ですよね。
【用具係でも一生やってろ!!】
好きな事はあるけれど、好きな事で嫌いになるのはどうにも辛いな。
明日からどうやって野球部来ればいいんですか?用具係でもしてればいいと思います。
そうして、自分は練習がある日は早く来て、みんなが野球をすぐできるように準備をする日々になりましたとさ。
◇ ◇
【お前なんかいらねぇんだよ!!】
ガバァッ
「はぁ……はぁ……」
たまたま、仕事が休みになった。久々に朝ゆっくり寝るかーって、爆睡を決めて昨日は布団の中に入ったってのに、……なんてこったい。結局、社蓄リズムに巻き込まれて4時間しか眠れねぇー。
「昼寝で誤魔化すか」
1人しかいない部屋で1人で呟いて、朝の支度をする。
飯を炊きながら、昨日作った味噌汁、昨日タイムセールをしていたトンカツとキャベツを並べる。飯が炊けるまで、ボーっとテレビの天気予報を見る。
せっかくの休みなのに、あんな過去の出来事を見たせいで仕事が休みになったのが、あんまり喜べない。実はそう思われてるんじゃ……まぁ、内心。そー思われたくはないから仕事をしているところもある。
『次のニュースです』
ザマァと言わせてくれるなら。この次のニュースで、かつての同級生が逮捕されてるニュースが飛び込んで来そうだが……。あいにく、そんな馬鹿をする連中でもなく、むしろそっち寄りなのが自分だと理解してしまっている。
まったく、……。変わろうとすればいい、のかもしれないが、嫌な事を知りもしないで言うのもどうなのか。
作った朝飯を食べ、また牛みたいに寝ようと布団に入った時
ヴイイィィッ
「なんすか?」
『朝からわりーな。新人が逃げたからやっぱり出てこい』
「……これから昼寝しよーってのに、了解です。気晴らしに仕事しますよ」
まったく、自分がザマァと言われる事ばかりだ。
◇ ◇
地味な仕事、誰にでも替えが利く仕事。そんなものでありふれたようで、実際はどこにも変わってくれそうな人達がいない。
自分に幸いだったのは。そーいう仕事に誇りはなくても抵抗がないのは、善良に育ったからかもしれない。
まだ夢にチャンスがあると思っている。その通りだと思う。ただ1つ、心の中で叫んでおく。
【一生、チャンスがあると思ってろ】
それくらいが少しのザマァと思ってること。
上手く行っている奴等に、情けない捨て台詞使って、用具係みたいな仕事をするだけさ。