道を探して
「それって、カマキリと魚か爬虫類のハーフ?」
「あくまで可能性だ。ハーフは見たことない」
「ちょっと、変身してみる」
と言って、パンツを脱ぐ。
やっぱり、カマキリにしかならない。
「何かのきっかけが必要なんじゃないかな」
とダレかが言った。ゴキブリのオッサンだ。
「儂はずっと人間だったが、カブトムシに脅されてビビった時、いつの間にか飛んでいた。気がついたら壁に張り付いていた。その時、初めてオレも虫だったでわかった。半分悲しかった、ゴキですから」
「一番安定した種族だろ気にするな」
とカブトムシが言った。
「何かのきっかけか...」
と言って、オレはパンツを履いた。
「ところでおまえ、これからどうする?我々と一緒にいるか?旅立つか?だが、旅立った奴らは何人かいるがダレも帰ってこない」
「オレは元の身体、人間に戻りたい」
「紐ビキニに拉致して聞いてこいよ。哺乳類は強いぞ」
「お前こそやれよ。いつも留守番だけじゃないか」
「なんだと」
喧嘩だ。
「止めろー」とアリのショウジが言った。
静かになった。そしてショウジが続ける。
「カマキリはまだ若い。自分の道は自分で決めろ。お前には選択肢がある。怪我をして動けないのが多い我々だ」
「人間に戻るために何でもする。その過程で死んだとしても後悔はしない」
「よし。よく言った。少なくとも、ウサギの居た城には戻らない方がいいぞ」
「わかった」
「それと、移動は夜がいい。昼だと、トンビと鷹に狙われる」
「餞別をやる。蜘蛛の糸で作ったカバンだ」と蜘蛛におねーさんが言った。
「ありがとう」
「オレはナイフをやる。麻痺の毒がでる」
と言って、尻尾の針のないスズメバチが言った。
「これは。。。」
「気にするな。ねずみから逃げたときに遺品だ」
「ありがとう。カバンにちょうど入る。人間の時の武器にするよ」
「出るなら、今のうち、暗い方が良い。気をつけてお行き、坊や」とてんとう虫のおばさんが言った。
「みんなありがとう」
そして、ショウジに教えてもらった方向に飛び立ったのだ。