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料理してやる!
「あーく でーもん?」
赤い着物を着た少女は扇で口元を隠しながら呟いた。
「此処は私が相手を致しましょう。」
と、蒼い着物を着た男は短刀っぽいモノを構えて言った。
「あーく でーもん。あく でーもん 灰汁 でーもん。 お玉はいらないのかしら。」
赤い着物を着た少女は扇で口元を隠しながらふと思っていた。
「道具箱なんて開けて何を探してるんだい?」
と、幌馬車の御者をしている金髪の男は不思議がって尋ねた。
「灰汁では無いから大丈夫よ。お玉さがさないで。」
御者のすぐ近くで本を読みながらポツリと呟く少女。
「お玉?灰汁?」
と御者の男は理解ができたとかできなかったとか。