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まったりと。
「今日のお茶は何かしら?」
黒いフリルの付いた服をちょっと鬱陶しそうにしながら少女は傍らに居る男に質問を投げかけた。
その男は表情を変えずただ一言
「ダージリンに御座います。」
とだけ言うと少女は満足げに頷き、
「いただきますわ」
可憐な動作で紅茶を飲み、優雅にティーカップをソーサーに戻す。
「なにしてんですかねお二人は。」
と、幌馬車の御者をしている金髪の男は不審者を見るような目つきで後ろの二人を眺めた。
「お嬢様と執事ごっこ」
御者のすぐ近くで本を読みながらポツリと呟く少女。
そう、馬車の中で二人はお嬢様と執事ごっこという異様な雰囲気を醸し出す遊びをしていたのであった。
「しょーもな・・・・」
と御者の男は思ったとか思わなかったとか。