9話
受付嬢のエマさんとある程度話したリーナさんはどこかへ行ってしまった。
まだお礼も言えてなかったのだがそれを言う暇さえなかった。
もしかすると忙しい中俺の面倒を見てくれたのかな?
そうだとすると感謝しかないな。
「さてさて、新人のレンさんでしたか。
冒険者にという事でしたがレンさんは冒険者についてどれくらい知ってます?」
うん、何も知らないよ。
だって冒険者になるって聞いたのついさっきだもん。
「そうですか、それなら最初から説明しますね。
まずは依頼についてです。
このギルドには様々な依頼が舞い込んできます。
魔物の討伐、薬草の採取などですね。
多くの冒険者はその依頼料で生活してます。
ここまでで質問は?」
ふむ、その辺りはゲームとかでも良くあるシステムだな。
問題はその依頼をこなせなかった場合か。
「おっ、良い質問ですね。
依頼が完了できなかった場合には違約金が発生します。
これは報酬の金額の25%になります。
ですので自分が出来る依頼か、そうでないかの見極めが重要になります。」
まぁ、そんなところだろう。
そうなると魔物退治より採取系の依頼を受けたいところだな。
というか俺って戦えるのだろうか?
ジョブが治癒士とテイマーだろ?
「まぁ、ランクが上がるまではそんな無茶な依頼もありませんし、そこまで心配する必要はありませんよ。」
ランク?
ああ、ランクを分ける事で無茶な依頼を受けれないよう制限しているんだな。
「レンさんはなりたてなので今はルーキーランクですね。
依頼をこなしていくとスライム、ゴブリンと上がっていき最後はドラゴンランクになります。
今この国には5人のドラゴンランクがいますのでレンさんもそうなれるよう頑張ってくださいね。」
となると当面の目標はスライムランクになることか。
いや、それよりはまず生き残る事を目標にすべきか。
「さて、それではこれを渡しておきましょうか。」
そう言って俺にカードを手渡す。
カードを受け取ると白紙だったカードに情報が書き込まれた。
[名前] レン
[ジョブ] テイマー 治癒士
[ランク] ルーキー
「エマさん、これって?」
「はい、これはギルドカードです。
身分証代わりにもなりますから無くさないでくださいね。
更新はギルドでしかできませんので気をつけて下さい。」
冒険者の証ってところか。
それにしてもどういう原理で書き込まれたんだろう?
聞いてみたが昔の大賢者と呼ばれた人が作った魔法らしいが今になっても解析できていないらしい。
物凄い人だったんだな。
さて、そんなこんなであっという間に俺は冒険者としてデビューしたのだった。