7話
「聞きたいことがあるっと。
その前に一つ、私の名前はリーナ・カロラインだ。
君の名前を教えてくれないか?」
ちょっと見た目の怖い女性、リーナさんに声をかけた結果分かったことは異世界人が俺以外にもいると言うことだった。
他にも色々教えてもらおうと思ったが確かに名前を名乗っていないし少し失礼だったかな?
「失礼しました。俺は烏丸 蓮です。
それでリーナさん、あの街って入るのに身分証とか必要になりますか?」
「烏丸 蓮…ふむ、レンと呼ぼうか。
不安そうにしていたのはそのせいか。
安心して良い。身分証など必要ないよ。
あそこで見ているのは犯罪歴があるかどうかだ。」
リーナさん曰くこの世界には犯罪者リストなるものがあるらしくそのリストに顔があると街へ入ることが出来なくなるらしい。
それって中々難しいことだと思うのだが、その辺りは魔法で何とかなるらしい。
魔法って何でもありなんだな。
「そうだ、君もローゼムの街に行くつもりなら一緒に行こうか。その様子だとお金も持ってないのだろう?」
確かに今の俺は無一文だった。
正確に言えばなぜかポケットの中に入っていた財布の中には3000円くらい入っているがこの世界では使うことは出来ないだろう。
後は換金できそうなものといえば、これも何故か身につけていたの腕時計とスマホくらいか?
そもそも寝ていた俺はスウェット姿だったはずなのに、何で普通の私服姿になってるんだ?
まぁ、あの女神様が気を使ってくれたと思おう。
「…そうですね、確かにお金は持ってません。
同行お願いしてもよろしいですか?」
「もちろん。
正直言うとね、私は異世界というのに興味があってね。
色々聞かせてくれると嬉しいよ。」
こうしてリーナさんにしばらく同行させてもらうことになった。
異世界に来て不安もあったが初めに声をかけた人が良い人そうで何よりである。
街に向かって歩いている最中はどちらかというと俺が元いた世界についてリーナさんが訪ねてくることが多かった。
スマホを見せた時の反応から、この世界の技術力は元の世界ほどではないことも分かった。
また、スラ吉に対してリーナさんが斬りかかろうとするアクシデントもあったが何とか説明することで事なきを得た。
ごめんな、スラ吉。
さて、そんなこんなでようやく俺は異世界に来て初めての街にやって来たのだった。