4話
ん、んん。
失った意識が徐々に覚醒していく。
ここは?自分の置かれた状況を把握しようと周囲を見渡す。
確か突然女神とやらに会って、異世界に行くとか言われて。
って言うとここが異世界?
何の変哲も無い森に思えるけど。
待ってみたら状況が変わるかもしれないとしばらく待ってみたが何も起こらない。
仕方ないので辺りを散策してみる。
しばらく歩いたが景色に変わりはない。
そんな状況に辟易しているとようやく変化があった。
目の前に魔物が現れたのである。
あれは?スライム?
ゲーム程度の知識しかないが恐らくスライムで間違いないだろう。
距離を縮めるか悩んでいるとスライム?が近寄ってきた。
どうしよう?戦うのか?
スライムは近寄ってくるがこちらに襲いかかってくる様子はない。
スライムは大人しい魔物なのかな?
そんなことを考えているとスライムが足にすり寄ってくる。
一瞬ビクッとしてしまうがそれを気にする様子はなくスライムは俺の足に寄り添っている。
そうだ、ステータス。
もしかしたらステータスでスライムのことが分かるかもしれない。
自分のステータスは表示出来たけど相手のことも分かるのかな?
疑問は残るが一度試してみよう。
「『ステータス』」
そう唱えてみたが表示されるのは変わらず俺の情報だけだ。
仕方ない、諦めるか。そう思い落胆しかけたが俺のステータスに変化があるのを見つけた。
[名前] 烏丸 蓮
[ジョブ]治癒士、テイマー
[従属]スライム♂
[レベル] 1
[魔法] 治癒魔法
[スキル] 言語理解、テイム
[体力] 32
[魔力] 79
[腕力] 34
[敏捷力] 28
[器用さ] 37
[運] 10
新しく従属という欄が増えているのだ。
どうやら目の前にいるのはスライムで間違いないようだが。
何もしていないのに勝手に従属とやらになるものなのか?
うーん、恐らくスキルのテイムの力が働いたんだと思うんだけどもっとこう、何かがあるかと思っていた。
スライムを倒したら仲間になるとか、傷ついてるところを直してあげたらとか。
達成感というものはないが仲間になってくれたのなら文句はない。
よろしくな、スライム。
いや、スライムというのは種族名だろ?
名前をつけてやらないとな。
スライムの♂だしな、スラ男、スラ坊、…
よし決めた、こいつの名前はスラ吉だ。
よろしくな、スラ吉。
こうして俺の異世界での新生活に新しい仲間が加わった。