2話
「死後の世界?ここが?
そもそも俺が何で死んだことになってんだ?」
突然の自称女神の発言に固まってしまった俺だったがようやく頭が回り始めた。
いきなり死後の世界とか言ってきたが全くもって理解できない。
「…そっか、まずはそこからね。
あなた、最近頭痛を感じてなかった?
あなたの死因はくも膜下出血、頭痛はその前兆だったのね。
一応死ぬ直前には意識を取り戻していたみたいだけど記憶は無いかな?」
くも膜下出血?俺が?
そんなはずは…いや、何だ?この記憶は。
突然の痛み、苦しみ。そして俺の意識は…
「まあ、死んだことに変わりはないから話を続けるわね。
一応あなたには選択肢があるの。
一つはこの世界にもう一度生まれるのを待つ。
ただ問題が一つあって転生するのも時間がかかってねえ。
今だと500年待ちってところかな?
もう一つは別の世界に行くこと。
この世界の命は失われたけど、別の世界でなら生きられるから。
こっちの問題はその世界には魔物がいるのよ。
この世界と比べて生きるってことの難易度は遥かに高い。
一応その世界に順応できるようにはするけどね。
さて、どうする?」
あああああ、展開が早すぎるわ。
突然死んだとか言われて整理出来ていないっていうのに生まれ変わり?異世界?
500年待ちって、俺それまで何するの?
「ああ、それともし生まれ変わるなら君の次の人生は苦しくなるねえ。ふむふむ、アル中の父親に暴力を振るわれ、バイトの金は奪われて、童貞のまま死んでいくか。
…まぁ、あれだね。頑張れ。」
おい、遠い目をするんじゃない。
なーんで、21歳で死んだのに生まれ変わってそんな思いをしなくちゃならないんだ。
やってられるかそんなもん。
「うん?その感じだと生まれ変わりは選ばない感じかな?
なら別の世界を選ぶんだね。
うんうん、危ない世界だけどその分君の努力次第で見返りも大きいからね。
さて、それなら君の力を決めようか。」
…いつのまにか決まってしまった。
まぁ、あんなこと聞かされるとそれでもいいと思ってしまう。
正直まだ死んだって実感も湧いてないんだ。
なるようになれとしか思えない。
「良し、それじゃあルーレットスタート。デデデデデーン」
訳もわからないままルーレットが始まった。
俺の力とやらを決めるらしいがこんな適当なのか?
「おおお、こ、これは…」
女神は驚いた表情を浮かべている。
何だ?もしかして物凄い力でもくれるのか?
「うん、君はテイマーと治癒士の才能が与えられたよ。
まぁ、普通だね。」
散々期待させた割にはどうやら普通の力だったらしい。
さっきの反応は何だったんだ。