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ご主人様とゆく異世界サバイバル!  作者: リュート
戦争に向けてサバイバル!
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第424話~女王陛下と宰相閣下の仕事場~

なんか捗らなかった……_(:3」∠)_

 メルティが担っている宰相としての仕事というのは実に多岐にわたる。国内経済だけでなく、外交や軍事、宗教なども含めた全ての案件が彼女のもとに押し寄せてくるわけだ。


「これは無理ゲーでは?」

「これでも大分落ち着いたんですよー」


 そう言いながらメルティは山と積まれている書類に素早く目を通している。この書類の大半は報告書でメルティ自身が何かしらの裁可を下す必要のある書類はさほど多くはないらしい。それでもこの量の書類に目を通すだけでも一苦労だと思うのだが。


「文官の数も陳情を処理するための部署の整備も進めたからな」

「整うまではこの倍くらいの数の裁可待ちの書類が積み上がってましたねぇ」

「ヒェ……」


 数が倍ってだけでも大事なのに、一つ一つ内容を精査して承諾するか却下するかの判断までしなきゃならんような書類ばかりだったというのが驚きである。そりゃ毎日疲れ果てもするだろう。


「何にせよゴーレム通信機というのは凄まじいものだな」

「あぁー、それはそうですねぇ。遠くの街での出来事やなんかもその日のうちに情報が届いてくるから助かります」

「エアボードの機動性もな。速度も走破性も移動可能距離も全てにおいて馬よりも優れているから、治安維持にこれ以上なく貢献してくれている」

「そこそこの規模の街にはゴーレム通信機を配備しているから、何かあれば砦に急報が入って兵が出動するっていう一連の流れが出来たのが大きいですよねぇ」

「それでも全ての被害がなくせるわけじゃないけどな」


 俺が保護したビャク達獣人メイドの前身は全滅させられた開拓団の生き残りである。通報する間もなく全滅させられてしまった場合にはそういった通報、急行システムも有意には働かない。まぁ、アレは随伴させていた地方領主の兵ごと全滅させられた稀有な例だったのだが。


「それで、俺は何をすれば良いのであろうか?」

「特にやることは無いですよ? 私が仕事をするのをちゃんと見ててくださいね」

「えぇ……?」

「それだけだと退屈でしょうから、そっちの箱に選り分けた保留の書類に目を通してくださっても良いですよ? それは一通り書類の精査が終わったら陛下と一緒に内容を検討するものですから」

「なるほど」


 確かにずっとメルティを眺めているというのもあまりに暇なので、メルティの言う通りにしてみる。ええと、なになに? こいつはメリネスブルグの北側に位置する河川の治水工事に関する書類で、こっちはとある村同士の水利権問題に関する書類、こっちはメリナード王国西部に出没する盗賊の問題に関する書類か。

 俺なら全部簡単に解決してしまえそうだが、そういうわけにもいかないんだろうな。治水工事だの水問題だのは俺の専門分野とも言えるし、盗賊に関してもグランデとペアで動いて空から盗賊の野営地を探し出せば、あとはゴーレム兵で圧殺するだけだ。

 ええと、それにこっちは魔物問題か。賊の件と一緒だな。グランデなりハーピィさんなりに巣だの寝床だのを特定してもらえば圧殺できる。こっちは街道整備の問題か。なるほど、老朽化してきていると。俺の専門分野だな。こっちは疫病が流行の兆しと。これも俺が行ってキュアディジーズポーションを処方すれば良いな。あとは浄化の魔道具でそこらじゅうを殺菌して回って、疫病の源がなにかあるならそれに対処すれば良い。全部俺が解決できる問題ばかりだな。


「先に行っておくが、その辺りの案件でお前を動かす気は無いからな」

「えぇ?」

「なんでもかんでもコースケ一人に頼っていてはそのうち国が立ち行かなくなる。どうしても他に解決する方法がない場合を除いて、コースケの力を使う気は無い」

「効率だけを考えるなら、コースケさんの力を遊ばせておくのは勿体ないと言えば勿体ないんですけどねぇ。ただ、コースケさんに全てを任せると数十人で何週間も何ヶ月もかかるような事業が数日で終わってしまうので、それはそれでうまくないんですよ」


 女王らしい厳然たる態度を示すシルフィをフォローするかのようにメルティがシルフィの発言を補足する。なるほど、確かに俺が働くと治水工事なんて技師と相談しつつ数日で終えてしまうだろう。しかし、そうしてしまうと公共事業が一つ潰れてしまうわけだ。

 今のメリナード王国には奴隷の身分から解放されたばかりの亜人達が沢山いる。彼らは鞭で打たれる過酷な奴隷の身分を脱して自由の身となることができたわけだが、それだけで幸せになれるのかというとそれはまた別の話だ。メリナード王国としても解放奴隷達に能う限りの手厚い支援をしていくつもりではあるが、それは働かずとも安穏とした生を送ることが出来るといった類のものではない。彼らにはちゃんと働いてお金を稼いで健やかな生を謳歌してもらい、いずれは納税の義務も果たしてもらわなければならないのだ。


「なるほどなぁ……でも、日帰りとか短期出張でどうにかなるような内容なら、俺は働くことに異存はないからな?」

「考えておく」

「考えておきます」


 うん、これは暫く俺を出張させる気のない返事だ。まぁ、シルフィもめでたく妊娠したことだし、アッチのアプローチが増えそうな予感ががするものな……俺を出張させる気は無いのだろう。


「しかし、この量の仕事を減らすとなると大変だな。人員をもっと増やすしかないんじゃないのか?」

「或いは部下の権限をもっと拡大するかですね。そろそろ大臣職の任命を考えたほうが良いかもしれません」

「大臣職の任命か……情勢も安定してきているし、考えたほうが良さそうだな」


 大臣職ねぇ? つまり大きな権限を持つ人員を各分野ごとに任命していこうってわけか。トップの負担は軽くなるが、権限の構造が複雑化する分、今までと比べて決断に時間がかかったりするようになるのかね? そうなるとしても、身重となったシルフィへの負担が軽くなるようなら是非その計画を推し進めてもらいたいものだ。もうシルフィ一人の身体じゃないんだからな。

来週は2月半ばから降臨しているカクテイシンコクという強敵と戦うためにお休みします( ˘ω˘ )(ユルシテネ

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