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ご主人様とゆく異世界サバイバル!  作者: リュート
戦争に向けてサバイバル!
406/435

第405話~緒戦~

マニアワナカッタ……_(:3」∠)_

 魔道飛行船が航行を始めて一時間と少し経った頃、魔力パッシブレーダーに反応があった。


「コースケさん、パッシブレーダーが十時方向の空中に竜騎兵以外の魔力反応を捉えました。魔力の大きさはワイバーンの半分くらいです」

「数は?」

「えーと、十三……いや、十五かな? 魔力の大きさにばらつきがあるのと精度の問題でちょっと正確には。距離は凡そ15kmです」

「魔力パッシブレーダーの精度向上は急務だな……ダルコ、こちらコースケ、応答せよ」

『はい、艦長』

「艦の魔力パッシブレーダーが何かの魔力反応を捉えた。空中位置、数は十五前後、魔力はワイバーンのおよそ半分。フライングバイターの群れと思われる。竜騎兵に連絡してくれ」

『アイアイサー』


 ダルコの返事を聞きながら、艦橋に設置されている魔道伝声管を操作して全艦放送を行う。


「十時方向、凡そ15kmの位置にフライングバイターと思しき反応を捉えた。数は十五前後。総員、第三種戦闘配置」


 第三種戦闘配置というのは通達があればいつでも迎撃体制を取れるよう準備せよ、という内容である。具体的に言うと、非番で休んでいる連中も戦闘用の装備を着用していつでも武器を手に取って戦えるようにするという状態だ。第二種戦闘配置になると全戦闘員が実際に武器を手に取って持ち場に着く状態を指し、第一種戦闘配置となるといつでも迎撃を開始できるよう武装の使用準備も済ませる状態を指す。今の所はそういう感じでやっているが、今後何か問題が発生した場合は改めることになるだろうな。何せ魔道飛行船の運用実績なんて無いから、何もかも手探りなのである。


「どうする?」

「戦闘の判断はドラゴニス山岳王国に投げてある。無効の判断待ちだ」


 と、アイラに言って数分。ダルコから連絡が来た。


『艦長、接敵して連携の確認を取りたいとのことです』

「了解。では手筈通り、竜騎兵が群れを釣り出して初撃は雷撃砲という流れで」

『アイアイサー、そう伝えます』

「高度、速度このまま。進路を十時方向へ。総員、第二種戦闘配置」

「アイアイサー」


 操舵士を務める魔道士さんが俺の指示に返事をして舵輪を回す。さて、距離15kmだとすぐに接敵するな。俺の場合は戦闘準備も何もショートカットから装填済みの武器を選ぶだけだし、一瞬で終わる。ある意味常に第一種戦闘配置である。


「私は?」

「アイラはここで待機。俺とアイラじゃ魔道飛行船自体に不測の事態が起きた時に対応できる幅が違う」

「むぅ……仕方ない」


 実際のところ、この魔道飛行船は高度な魔道具の集合体のようなものなので、何か不測の事態――例えばダメージを受けて何らかの機能不全を起こしたとか――が起こった場合には俺よりもアイラの方がより迅速かつ正確に対応ができる。俺も魔法や魔道具に関してはアイラやイフリータに教わって少しは勉強したが、まだまだぺーぺーの素人みたいなもんだからな。地球の知識や色々なゲームの知識からアイラ達に有用なアドバイスができることがあるだけで、知識の深さに関して言えばまだまだ爪先程度なのである。足首が浸かるところまでも行っていない。


「まぁ俺も余程のことがないと出ないから。十五匹程度じゃ相手にもならんだろうし」

「ん、それはそう」


 ソレル山地では二十以上のワイバーンと同時に戦うこともあったのだ。格落ちのフライングバイターではどうにもなるまいて。


「でも油断大敵。フライングバイターはワイバーンより格下の魔物だけど、ワイバーンじゃない」

「それはそうだな。油断せず行くとしよう」


 魔物としての脅威度がワイバーンより下だからといって、俺達、ひいてはこの魔道飛行船にとってより与し易い相手とは限らないものな。ワイバーンよりも素早くてこちらの魔銃兵の銃撃が当たらない、なんて可能性もあるわけだし。


「先行した竜騎兵とフライングバイターと思しき魔物集団が接敵。本艦に向かって接近してきます」

「総員、第一種戦闘配置。雷撃砲手は竜騎兵を巻き込まないように注意せよ。多数の敵を巻き込むことよりも味方への誤射をしないことを優先だ」


 魔道伝声管を使って艦内全域に指示を飛ばす。ちなみに、第二種戦闘配置が発令された時点で非戦闘員は船室へ退避することになっている。観戦武官は……どうやらほぼ全員完全武装で甲板に残っているらしい。まぁ観戦するために乗っているんだから当たり前か。


「見えてきた」

「マジで? 目ぇ良いなあ……」


 アイラが艦の前方を見据えながら呟いたのを聞いた俺はインベントリから望遠鏡を取り出して構える。細長い単眼鏡だ。なんとなくこっちのほうがファンタジーっぽい雰囲気が出て良いかなと思ったので。ちなみに双眼鏡は双眼鏡で既に作ってある。


「あー、いたいた。操舵員、面舵だ。迫ってくる魔物の群れに左舷を向けろ」

「アイアイサー」


 雷撃砲は艦首と左右の舷側に設置されているので、真正面を向くよりもどちらかの舷側を向けたほうが火力が高い。うーん、やっぱアレだな。攻撃能力を考えるなら艦首に三門ないし四門くらい雷撃砲を並べて、真正面に対する火力を高めたほうが良いな。発射方向を正面に固定しているのなら砲手も必要ないし、発射に使う魔力を魔煌石炉から供給するなら装填手も必要ない。火薬式の大砲と違って反動を考える必要もないし。国に戻ったら改装案として出しておくとしよう。

 実のところ、ソレル山地でワイバーンと戦った時にも同じことを思ったんだよな。でもあの時は改装する時間も無かったから、そのままだったんだ。この船滅茶苦茶な急造品だからね。色々なところに粗があるのは仕方がないね。砲の配置に関しては俺が帆船と言えば両舷に設置された大砲って概念に引っ張られすぎたんだよな。これは反省しなきゃならん。


「間もなく接敵します」

「友軍への誤射に注意。全兵器使用許可だ」


 ここまで来ると俺がすることはもう無い。精々甲板での戦闘が劣勢になった時に出ていって加勢するくらいだ。あとは現場でテッドとダルコが戦闘指揮を取る形となる。


 ガオォォーーーーン!


 耳を劈く雷鳴と共に魔道飛行船の左舷方向が青白い光で満たされる。左舷二門と艦首一門の雷撃砲がその威力を発揮したのだ。フライングバイターと思しき黒く、細長い影がいくつも自由落下していくのが見える。雷撃砲の放つ雷撃の直撃を食らったか、それとも直撃を喰らわないまでも身体が痺れたか、或いは音と光で気絶したか……何れにせよこの高度から自由落下して地面に叩きつけられれば死は免れまい。見る限り、竜騎兵達に被害は出ていないようだ。

 次いで雷撃砲の雷鳴よりは幾分かは大人しい魔銃の発砲音が連なって鳴り響き、フラフラと飛んでいた残りのフライングバイターが空中に血の花を咲かせてから墜ちていく。的はワイバーンよりも小さいが、雷撃砲の影響でフラフラと飛んでいる分にはうちの魔銃兵の連中にとっては良い的である。雷撃砲は威力もさることながら、直撃せずとも相手の視覚と聴覚を一時的に奪う効果があるので、魔銃とのシナジーが高いんだよな。


「フライングバイターの魔力反応消失、全滅させました」

「了解。総員、第一種戦闘配置を解除。脅威の排除が確認されるまで第二種戦闘配置で待機」


 とりあえず最初の掴みはOKといったところか。竜騎兵達に周辺の安全を確認してもらったら進軍を再開するとしよう。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 無効の判断待ちだ → 向こうの判断待ちだ
[気になる点] まだ緒戦ですが 今の戦闘、周りには どの様に写ったのでしょうね? 拍子抜け?、脅威?、まだ判らん?
[一言] 帆船でも空母でもないし、航空戦力あっても飛行甲板もさほど必要ないし護衛艦とか航空戦艦みたいに前方に艦砲を集中配置して、後方に出撃用甲板、なんなら左右の舷側にも開閉式の出入口あればいいんだよな…
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