表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ご主人様とゆく異世界サバイバル!  作者: リュート
戦争に向けてサバイバル!
404/435

第403話~作戦案開示~

まにあった( ˘ω˘ )(えらい

「まずは再確認だが、この度の軍事行動はドラゴニス山岳王国がメリナード王国に協力を要請し、コースケ殿の承諾を受けて成立した合同作戦である。それぞれの軍の指揮権はそれぞれの国が持つという形で問題は無いだろうか?」

「勿論それで良い。こちらには飛竜騎士を指揮するノウハウは無いからな」


 当然、あちらにも魔導飛行船や魔銃兵、ハーピィ爆撃隊を指揮するノウハウは無いので、指揮を執れと言われてもお互いに困るだけだろう。お互いがお互いの戦力を掌握し、連携するのが一番だ。


「同意を得られて何よりだ。そしてもう一点。コースケ殿はここに集まっている各国から最大二名ずつ観戦武官の搭乗を許可してくださった。希望があれば魔導飛行船に搭乗し、今回の作戦を観戦してもらって結構だ。ただし、自分の身は自分で守ってもらいたい。相手はフライングバイターだからな。魔物は観戦武官だからと言って襲う相手を区別してくれるわけではない。魔導飛行船に搭乗し、観戦するなら身の安全は自己責任ということになる」


 尤も、この場に自分の身を守れぬ武官など一人も居ないだろうが、と言ってシンドリエル王太子が薄く笑みを浮かべる。俺は武官じゃないからセーフだな。アイラも武官じゃなく筆頭宮廷魔道士だからセーフだな。まぁ、アイラは自分の身くらい自分で守れるだろうけど。

 それはとりあえず横に置いておいて、まずはこちらから議題を提起しようか。


「差し当たって、互いの戦力を把握することが肝要かと思うのだがどうだろうか。互いにどのように戦い、どの程度の範囲にどれだけの攻撃力を投射できるのかわからなければ連携の取りようがないと思う」

「それはそうだが、そればかりは実際に見てみるしか無いのではないか?」

「それも必要だろう。こちらにはその用意があるし、いつでも見せることができるのでまずはこちらで説明させてもらう」


 そう言って俺は席を立ち、インベントリから黒板を取り出した。キャスターによって簡単に場所を移動できる優れもので、白、ピンク、黄色のチョークと黒板消しも完備である。本当はホワイトボードにしたかったのだが、残念ながらマジックペンというか程よい感じのインクの開発に手こずっていて実用化出来ていない。


「軽くだが、我が国が開発した新型魔導飛行船の攻撃能力を開示する」


 そう言って俺は簡単に魔導飛行船の側面図と上面図を白いチョークで黒板に描いた。本当にごく簡単に輪郭程度だから絵心の無い俺にもこれくらいは問題なく描ける。


「まずは船の固定武装だが、雷撃砲というものを装備している。艦首に一門、両側舷に二門ずつだな。これは強力な雷撃を放つ事ができる魔道兵器で、射程は凡そ100m、攻撃範囲は砲門を頂点とした円錐状だ。かなりの広範囲を攻撃することが可能だが、接近されると少々使いづらいのが難点だな」


 基本的には接近してから使う武器ではなく、ある程度の距離がある状態で撃って広範囲を攻撃するための兵器だ。根本で当てれば強力だが攻撃範囲が狭くなってしまうし、そもそも照準をつけるのが難しくなってしまう。


「そして船に乗っている兵員は全員が魔銃兵だ。魔銃兵というのは魔銃という我が国の最新兵器を扱う専門兵科で、彼らが使う魔銃はギズマのように強靭な甲殻を持つ魔物の装甲を突破し、致命傷を与える威力がある。余程当たりどころが悪くない限りワイバーンでも一撃で撃墜し、行動不能にすることが可能だ。これはソレル山地における実戦訓練で実証済みであるということも保証しておく。魔銃の威力については後で時間を取って実際に見てもらおうと思う」


 インベントリから魔銃を一丁取り出し、抱える。分厚い黒鋼製の銃身のせいでずしりと来る。膂力に秀でる亜人達が使うことを想定しているから、俺にはちょっと重いんだよな。


「こいつの有効射程は100mを優に超える――んだが、流石に自分も相手も動いている空中戦でとなると確実に命中させるにはかなり引きつける必要がある。まぁ概ね雷撃砲よりは多少長く、攻撃力はより上と思ってもらって良い。ただ、こいつの弾は外れた場合にも殺傷力を保ったままかなりの距離を飛ぶ。流れ弾に当たると人はまず死ぬし、飛竜も致命傷を負いかねない。なので、もしフライングバイターに近接戦を仕掛けられた場合にはドラゴニス山岳王国の飛竜兵や飛竜竜騎士達には魔道飛行船の船底を中心に援護に回ってもらいたいと思うのだが、どうだろうか」

「なるほど、死角になっている船底を守るというわけだな」


 実際のところ船底には多数の銃眼を設けてあったりするので、全くの死角というわけでもない。普通の船と違って船底に穴が空いていても水が入ってきて沈むってことはないからな。飛行船の場合。正確には船底ではなく船殻であるわけだが、それをわざわざこの場で懇切丁寧に説明する必要はないし、何より流れ弾で同士討ちなんて事態は避けたいからな。ここは否定も肯定もしないでおく。

 というか本来魔銃の有効射程は優に500mはあるんだが、やはり空中での対空戦となると相応に命中率が落ちる。ワイバーンほどの巨体を相手にしても100m以上の距離で命中させるのは至難の業だ。そりゃ戦闘機相手だと爆撃機の対空機関銃だってそうそう当たるもんじゃなかったみたいだし、いくら魔法撃発機構によって射撃速度が高いとは言っても、単発式の前装銃で対空攻撃を決行すること自体が無理ゲーなのである。確か第二次大戦時の対空機銃の命中率って精々一桁%程度だったはずだ。湯水のように高速で弾をばら撒いてその数字なのに、何故うちの魔銃兵達は相手がそれなりにデカいワイバーンとはいえあんなにポンポン当てられるのか。これがわからない。


「うちの船の攻撃力を活かして戦うのであれば、フライングバイターの巣から群れを船へと誘引してまずは雷撃砲で多くのフライングバイターを巻き込み、その後に魔銃兵により迎撃。飛竜兵と飛竜騎士の援護を受けながら残敵を掃討する。これを繰り返して巣の戦力を段階的に損耗させ、防御力を落とした後に巣の上空へと侵攻。魔道飛行船とハーピィ爆撃隊による爆撃によって巣を破壊する、というのが良いかと思う」


 これが俺が考え出した正攻法だ。ちなみにプランBはフライングバイターを迎撃しながら最大船速で巣の上空に突撃し、上空でゴーレム兵をインベントリから投下。その攻撃力によって撃滅するという案で、プランCはプランBの別案で魔煌石爆弾を落としてそのまま離脱という案である。当然ながら両方ともアイラに却下された。

 アイラ曰く、どちらの案も俺の個人の能力に依存した案で、メリナード王国の力を誇示するという目的に沿わないという。その方法でフライングバイターの巣を殲滅するなら魔道飛行船を使う必要すら無く、グランデに俺を運んでもらって一撃離脱したほうが遥かに安全で合理的だと。それは間違いなくそうだな。グランデの方が魔道飛行船よりも遥かに速いし、自衛能力も完璧だ。


「メリナード王国の支援を受けながら戦うのであればコースケ殿の案が良さそうだな。では撤退の判断に関してはどうする? 連携が上手く行かなかったり、不測の事態が起こった場合には撤退の決断も必要になると思うが」

「そちらに関してはドラゴニス山岳王国の判断に従うという方向で行きたいと思う。こちらはワイバーンとの戦闘経験はあるが、フライングバイターとの戦闘経験はない。空中戦の経験そのものも浅いと言わざるを得ない。難しい撤退のタイミングを経験豊富なドラゴニス山岳王国に判断してもらえるなら助かるな」

「了承した」

「それでは細かい部分を詰めたら魔銃の威力をお披露目するとしよう」


 その後、出発の日時や人数など細かい部分を決めてから魔道飛行船が停泊している離着陸場付近に標的を用意し、魔銃の斉射によって鉄板で防護した石製の標的を粉砕して見せた。その結果、小国家連合の護衛達から魔銃兵達に向けられる視線の質が変わったように思う。やっぱり力を見せて舐められないようにするのは大事だな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 魔銃の有効射程もスコープでも載せればもっと伸びそう現代の対物ライフル以上なら1キロは余裕では? 雷撃砲は10キロとかもっと長いかと思ってた。 100mは流石に短すぎる
[気になる点] そういえば、マ○インクラフトとかテ○リアみたいな世界なら、釣りでとんでもないものが出そうだな〜って思いました。 あと、海のある世界か川で何か釣り上げるみたいな展開があるのかなーとも思い…
[一言] 舐められてるのは王国ではなく王配というか竜配のコースケだったので、力を見せつけるんじゃなかったのかは?敢えてコースケの力を隠してを舐められっぱなしにして注意をそらせてるのかな
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ