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ご主人様とゆく異世界サバイバル!  作者: リュート
戦争に向けてサバイバル!
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第303話~イフリータ先生の魔法授業:基礎編~

遅れた上に短くてすまねぇ……昨日今日と天気が悪くてなんか体調が優れねぇんだ……_(:3」∠)_

 翌日、昨晩の話し合いでシルフィとメルティから冒険者ギルドへのテコ入れの追認を貰った俺は冒険者ギルドと商人組合に書を認めてハーピィさんに配達してもらうことにした。

 内容としてはメリナード王国からの財政支援と、駆け出し冒険者支援計画の骨子についてだ。昨日シルフィとメルティに相談した内容を基に、冒険者ギルド側で詳細を詰めるように指示してある。

 商人組合と連携してギルドの紋章入りの装備の調達、紋章入り装備の転売阻止策の策定と実行、またフードチケットの取り扱いに関する提言もまとめて書いておいた。

 商人組合にも冒険者ギルドへのテコ入れに言及し、俺が預けた資金を使って最大限協力するようにという内容の書を認めた。計画がまとまったら報告するように、或いは何か問題が起こったり、判断を仰ぎたかったりする時には王城の俺宛に連絡するようにとも書いておいた。冒険者ギルドと商人組合からの手紙や、或いは謁見申し込みについてはすぐに俺に連絡が来るように王城の警備などにも話を通しておいたので、これでとりあえずは問題ないだろう。

 何にせよ早ければ早いほど良いと言うか、冒険者ギルドで見かけた亜人達の様子を見る限りあまり余裕が無さそうだったので、可能な限り迅速に対応するようにと書いておいた。無効からすれば無茶振りだろうが、それで助かる人は多いと思うから頑張ってほしい。

 で、それが終わったら魔法のレッスンということでイフリータの私室を訪れたのだが。


「……なんでアイラがいるのよ」


 俺の後をついて部屋に入ってきたアイラを見たイフリータが表情を曇らせる。


「私が居ると都合が悪い?」

「……別に」


 別に、と言いつつそっぽを向いたイフリータの頬が僅かに膨らんでいるように見える。どう見ても別にって感じじゃないけども。


「カリキュラムは考えてきた」

「なんでアイラが勝手に……」

「得手不得手がある。属性魔法や触媒を使った儀式魔法、それに精霊魔法はイフリータ様の方が得意。術式理論や錬金学、応用魔道学は私のほうが得意。分担するのが効率的」

「むぅ……でも、今日は私が教えるからね!」

「ん、それがいい。基礎の基礎から」

「よろしくおねがいします、先生」

「任せなさい」


 イフリータが腕を組んでふんぞり返りながら得意げに笑みを浮かべる。そんなイフリータをアイラが何故か優しげな目で見ていた。


 ☆★☆


「なるほどなるほど、属性魔術の相性は比較的珍しい感じだな。言うなれば相克タイプか」


 この世界の属性魔術の相性は水と火、風と土がお互いに大きく影響を与えるタイプであるようだ。つまり、火属性の攻撃属性は水属性の防御属性に大きなダメージを与え、水属性の攻撃属性は火属性の防御属性に大きなダメージを与える。風も土に強く、土も風に強い。相関の無い属性同士に有利不利は発生しないといった感じだ。

 ちなみに、火属性魔法には火炎系の魔法だけでなく光線系の魔法や溶岩系の魔法も含まれ、水属性魔法には氷系の魔法や冷気系の魔法も含まれる。風属性魔法には雷撃系の魔法や毒ガス系の魔法が含まれ、土属性魔法には岩石系の魔法や金属系の魔法も含まれるといった感じのようだ。


「……なんか異常に飲み込みが早くない? 素人なのよね?」

「魔法は使えないけど、経験はそれなりに?」


 主にゲームとかでだけど。属性相性とかは魔法が出てくるゲームの基本知識みたいなとこあるしな。まぁ、あまり極まってくると属性の数が多すぎてわけがわからなくなるけど。某ポケットのアレとか複雑すぎてもう全然わからんし。たまに無駄に属性を多くしすぎたせいで個々に対応するのが難しくなって、最終的に『レベルを上げて物理で殴るのが最適解』みたいなことになってるゲームとかもあったけど。


「コースケの世界には魔法がなかった。でも、魔法を扱った娯楽作品はいっぱいあった」

「魔法がないのになんで魔法を扱った娯楽作品があるのよ?」

「そこは人の持つ想像力の賜物ってやつかな」

「もしくは、忘れ去られているだけでコースケの世界にも魔法は存在したのかもしれない。火のないところに煙は立たない」

「それは面白い解釈だなぁ」


 人は科学の力を手に入れた代わりに神秘を手放した、という話なのかもしれないな。目に見えるものだけでなく、目に見えぬものまで解析し、神秘という存在を徹底的に解体した結果、魔法や呪いといったものが存在できなくなった、という考えはなかなかにファンタジーで嫌いじゃないよ。


「とにかく属性の相性については理解できたと思う。もう少し踏み込んでいこう」

「それじゃあ、次は初歩的な魔法術式の理論ね。初歩だからって軽んじてはダメよ」

「勿論だ」


 と、術式の授業が始まったのだが。


「これは難しい、というか暗記系の分野だな」


 基本的にこの世界の一般的な魔法というものは、文様とか紋章にしか見えない基本術式を複数組み合わせることによって発現する。術式を用意し、そこにまだ属性のついていない無色の魔力を注ぎ込む事によって何物でもなかった魔力が属性魔力として形を持ち、魔法としてこの世界に影響を発生させるのだ。

 恐らくだけど、これはプログラミング言語に近いものなのだと思う。ただ、俺はプログラミングには明るくないんだよなぁ。ゲームでコンソールを呼び出してコードを打つくらいのことはしたことはあるけど。IT系のエンジニアとかじゃないと普通はそうそう触ることもないものだものな。


「あんたの場合は特にそうね。魔法を使えるなら何度も何度も同じ魔法を反復して使って、ある程度身体で覚えることもできるんだけど」

「やっぱり魔法を使えないのは不利」

「ですよねー!」


 魔法を使えないということはつまり、お試しで術式を組んでみても自分でその術式を実行できないということだ。つまり、紙に直接鉛筆やペンでコードを書いてプログラミングしているのと同じで、実際にそのコードを実行してデバッグなどができないという状態に等しい。

 熟達したプロならば紙にペンで複雑なプログラミングをして、感覚的にデバッグもできてしまうのかもしれないが、今の俺はペーペーの素人。なんとか画面上に『hello World!』と表示させようとしているヒヨコどころかまだ孵ってすら居ない有精卵にも等しい状態なので、これはかなり厳しい。


「術式理論よりも、どんな魔法があるのかを覚えていった方が良いかも知れない。火属性の攻撃魔法と一口に言っても色々あるだろう? 火の矢を飛ばす魔法、火の玉を飛ばす魔法だけでなく」

「うーん、そういう変な覚え方は良くないと思うけど……」

「コースケに常識は通用しない。魔道士として考えれば邪道でも、コースケなら何か素晴らしいことを思いつく可能性がある。実績もある」

「ああ、あの反動制御術式ね。そっか、あれを発見する切っ掛けになったのもコースケだったわね。それならまぁ……うん、常識に囚われないでやってみましょうか」


 どうやら俺の魔法学習に関するカリキュラムは大きく見直されることになったようである。苦労をかけてすまないな、先生方。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] コースケに魔石や魔晶石持たせて外部バッテリーとして使えば魔法使えたりはしないもんかね。
[気になる点] 無効からすれば無茶振り → 向こうからすれば
[気になる点] 誤字っぽいです。 NG:無効からすれば無茶振りだろうが、それで助かる人は多いと思うから頑張ってほしい。 OK:向こうからすれば無茶。。。。 [一言] いつも楽しく拝見してます。今後…
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