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ご主人様とゆく異世界サバイバル!  作者: リュート
異世界の森でサバイバル!
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第002話~勝ったな(フラグ)~

キリの良いとこまでサクサク行きたいですね……もう少し長いほうが良いかな?_(:3」∠)_

 クラフトメニューさえ使えればサバイバル系ゲームやりこみ勢の俺に怖いものなど何もない!


 そう思っていた時代が僕にもありました。


「道具があったところで俺は槍投げも斧投げもできないし、弓矢なんかも扱ったことがないわけでして」


 焚火の前に並んでいるのは手持ちの素材でクラフトした道具の数々。

 まずは石斧。石ころと木片から最初にクラフトした一品だ。とりあえず石斧。こういうのは石斧が基本だからな。お約束みたいなものだ。

 これは凄いぞ。ただの石ころと曲がりくねった木片から真っ直ぐな柄と磨かれた石刃を併せ持つ理想の石斧ができた。これなら時間をかければ木も切れるだろうし、襲い掛かってきた野生動物の頭を叩き割ることもできるだろう。


 問題は、こいつを振るうのが今まで伐採作業もしたこともなければ野生動物とガチンコバトルもしたことがない俺だということだな。HAHAHA!


 お次は石槍だ。素材は石ころと木片。うん、言うまでもなかったな、すまない。本当にすまない。

 こちらは磨いた石刃ではなく、打って作ったと思われる打製石器の穂先がついている。穂先は鋭く、いとも容易く生物の表皮を貫き、内臓を傷つけるであろうということが予想できる。


 重量バランスも悪くなく、そのまま突くにも投げるのにも適しているようだ。軽く投げてみたが、そこそこ飛んで地面に突き刺さった。何故か穂先が欠けなかったのもGood!

 実際に使うなら何本か用意して連続で投げるのが良いだろう。当たればダメージはデカいはずだ。


 そして本命、弓と石の鏃の矢だ。弓はよくしなる枝と、そこらに生えていた草からクラフトできた。蔓のようなものが弦になっており、矢を番えて放つとかなり飛ぶ。問題は真っすぐ飛ばない、狙った所に当たらないという二点である。これは要練習だろう。


 さらに真打ち、石のナイフである。よく磨いた鋭い石刃に木製の柄を持つ。これがよく切れるんだ。木を削ったり、草を切ったりするのに全く苦労しない。だが耐久性に難がある。

 調子に乗って木の枝を叩き切ったら刃が欠けた。扱いは慎重にするべきだろう。自分を切ったりしたら大変だからな。


「まぁ、少しは安心できるかな……」


 粗末なものでも武器を手に入れたことで多少の安心感は得られる。そして面白いこともわかってくる。


「なるほど、石のナイフを手に入れることでクラフトできるものが増えるわけだ」


 そう。加工に使えるツールを手にすることでクラフト可能な製品が増えたのである。

 石ころと木片を組み合わせることで粗末な石器を作れるようになっていたのだが、石器を揃えることで木や植物を使った雑多な品を作れるようになったのだ。

 例えば木の皿などの食器類とか、木や草の繊維を編んで作った籠などがクラフトメニューに追加されていた。その中でも特に有用そうなものが二つ。


「木の水筒と、舞錐式発火セット。これはいいな」


 木製の水筒に関しては特に言うことは無いが、舞錐式の発火セットは素晴らしいな。

 俺がやった弓錐式の発火法を進化させたような道具だ。軸の長いコマが本体で、その軸が貫通するように穴の空いた横木がハンドルになっている。

 横木の両端と軸の頂点が紐で繋がっており、軸に紐を巻き付けてハンドルを上下するだけですごい勢いで軸が左右に高速回転する。その摩擦で火種を作るわけだ。

 え? なんだかよくわからない? 俺の語彙だとこれ以上的確に表現できん。ネットで検索してくれ。とにかく俺は簡単に火を起こせる道具を手に入れたということだ。

 木や草から火口も作ることができたので、これもそこそこの量を確保しておく。


「インベントリは便利だなぁ」


 作った道具はインベントリに保管しておけるのも良い。重い石の刃を持った石槍やら石斧やらを何本も持って歩くのはしんどいというか、普通に無理だ。俺自身が収納できるものなどスウェットのポケットが上下二つずつの合計四つなのである。それと両手でもういっぱいいっぱいだ。

 最終的に石槍を三本、石斧を一本、弓一張に石の矢が二十本、木の水筒に発火装置、火口となる木屑や木の皮をそこそこ、それに石のナイフ。あとは投擲用の石を運ぶために草か木の繊維を編んで作った肩掛け式の籠を一つ。

 メニューの操作方法を試行錯誤しつつも、ほんの三時間かそこらの間にこれだけの道具を作ることができた。異世界転移モノの小説なら、これは紛うことなきチート能力というやつなのだろうが……。


「すっごい地味」


 確かに人智を超えた力だろう。だが、現状でこの能力でできることというのは粗末な道具を手間なく作れる、ということだけである。道具を使う俺がヘボなので、チート能力という感じが全くしない。


「完全に裏方向けの能力だよな」


 どうせなら望む道具をなんでも出せるとか、そういう能力が良かった……中途半端なサバイバル系ゲームのエミュレートなんて地味にも程がある。

 何故中途半端かって? それはこういう系のゲームではお馴染みのゴッドモード(無敵&飛行&物質透過ができる)やクリエイティブモード(資材が無限に使える)、それにコンソールコマンドの使用はできなかったからだ。本当のチートは使えない。なんて地味な……しかし今はこの能力が俺の生命線である。


「寝よう……初日から夜間探索とか死亡フラグでしかない」


 安全に木の上で寝る方法についてもクラフトメニューともう一つの新機能で解決した。草と木の繊維からハンモックを作ることができたのだ。しかしハンモックなど使ったことのない俺に設置と運用ができるだろうか? それは俺の能力で解決することができた。


「うーん、これは便利」


 ハンモックを『使用』することで設置モードへと移行し、半透明のハンモックの立体映像のようなものが視界に表示される。あとは設置に適した場所に視線を動かして念じれば、それでハンモックが適切に設置されるのだ。

 俺は二段ジャンプを駆使して木に登り、枝の間に隠れるように設置されたハンモックに身を委ねた。夜中になってもあまり寒くないのだけは助かったな……これが凍死レベルで寒くなったりするなら面倒なことになるところだった。


「ああ、ひもじい……」


 明日の目標はとりあえず水と食い物。空腹と喉の渇きでなかなか寝れないんじゃないかと心配していたが、疲労と心労のせいかすぐに眠りに就くことができた。明日は良いことがありますように。

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[一言] [ひもじい]って懐かしい
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