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ご主人様とゆく異世界サバイバル!  作者: リュート
戦争に向けてサバイバル!
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第256話~北方勢力の胎動~

おくれました! ゆるして!!!_(:3」∠)_(友人とPS4版のWoWsやってて気づいたら朝だった

 新型保存食関連の仕事で忙しくしている中、アイラ共々シルフィから会議室へと呼び出された。

 なんじゃらほい? と互いに首を傾げながら会議室に顔を出すと、そこにはシルフィだけでなくメルティやレオナール卿、ダナン、それにエレンやドリアーダさんも集まっていた。メルティやレオナール卿、ダナンはともかく、エレンとドリアーダさんも会議に顔を出すというのは珍しいな。

 会議室の大きなテーブルの上にはメリナード王国とその周辺の地図が広げられており、会議の内容が穏やかなものではなさそうだという予感がする。


「集まったようだな、では始めるか」

「これから一体何が始まるんです?」

「北方対策会議だ」


 呼び出された理由を率直にシルフィに聞いたら彼女はそう答えた。北方対策ねぇ。


「北方というと、ディハルト公国とティグリス王国だったっけ」

「そうだ。どちらも聖王国の実質的属国といったところだな。ディハルト公国は聖王国の傀儡、ティグリス王国は国教がアドル教で、聖王国に半ば臣従している。我々メリナード王国にとっては潜在的な敵国だ」

「なるほど。それで緊急会議を開くということは何かあったのか?」

「そういうことだな。メルティ」

「はい、こちらをご覧ください」


 今日のメルティはお仕事モードのようだ。真面目な表情でテーブルの上に何か数字がたくさん書かれている書類を並べた。十枚ほどが一組にされているものがいくつも置かれる。俺はそのうち一組を手に取って眺め始めた。うーん? どこかの街の各物資の取引量と物価の移り変わりが書いてあるのか。


「特に不審な場所はー……うーん?」


 比較対象とするべき基礎知識がないからはっきりとは言えないが、食料の価格が徐々に上がっているのが気になる。メリナード王国内においては俺が秋口に作った畑の効果で食料自給率が100%を軽く超えているはずだ。しかし、この書類のデータによると食料価格が徐々に微増している。取引量も同じく多いようだ……というか多過ぎないか?


「食料の取引量が妙に多くないか?」

「そうであるな。冬に食料価格が上がるのは珍しいことではないのであるが、メリナード王国内でそれはおかしいのである」

「ん。オミット大荒野からは今も輸送用エアボードで大量の食料が運ばれてきているし、アーリヒブルグ以南の食料生産拠点でも食料が生産され続けているはず。コースケの作った畑は冬でも食料を作り出し続けている」


 レオナール卿とアイラも俺の発言に同意する。


「あの畑、冬でも作物を作り続けるのですか……」

「非常識という以外の感想が出てきませんね」


 そしてアイラの話を聞いたエレンとドリアーダさんがドン引きしている。君達? 中庭の畑とか薬草畑とか見てるよね?


「エルフの里でも似たようなことしてましたけど」


 エルフだって同じようなことをしていた。俺の力は非常識じゃ……いや非常識だけど。ドン引きされるのは納得がいかない。


「コースケ、あの魔法農場は膨大な魔力を持ち、精霊魔法に通じたエルフ大量にいて、なおかつ黒き森という生命の精霊や植物の精霊の力が強い場所だから運用できたんだ。他国であのような魔法農場を運用するのはコストに見合わない。黒き森のエルフ達ですらたった三百人分の食料を増産するのに膨大な魔力を注ぎ込んでいたのだからな」

「コースケさんの畑は一回作れば簡単な世話だけでわさわさと作物が育ちますからね。エルフの魔法農場も初めて見たときは凄いと思いましたが、コースケさんの畑を見た後だと存在そのものが霞みますね」

「さようか……」


 受け容れよう、現実を。はいはい非常識非常識。伊達にアイラに何度も宇宙を背景に目を丸くしている猫みたいな顔させてないよ。


「で、このデータが示唆しているのはアレか。つまり北側の国が戦争準備をしてるってことか」

「……今更驚くことではないが、コースケは多才だな。いや、能力一つをとっても非凡なのはわかっているのだが」

「知識の範囲が異常に広いのであるな。モノづくりに目が行きがちになるのであるが」

「浅く広く色々と齧ってただけだ。専門的な知識があるわけじゃないぞ」


 本当の専門知識なんて一度調べ始めると深すぎて調べきれないし、理解が及ばない。俺の頭で理解できる範囲の知識をネットや書籍で調べたことを覚えているだけだ。記憶力にはそれなりに自信がある方だけど。それに、知識があっても活かせるかどうかはまた別の話だ。興味のないことは調べもしなかったしな。


「コースケは最初から軍事関連にも強いがな……まぁ、コースケの言った通りだと考えられる。実際に北部の町に人員を派遣して調べさせたが、ディハルト公国やティグリス王国の商人が食料をかなり買い付けているらしい。連中は秋の収穫が不作だったと言っているらしいが、両国と取引をしているメリナード王国の商人の話によると秋にそんな話は聞かなかったという。もしかしたら両国の国境に遠い地域で不作だった可能性も無くはないが、時期的に考えても両国が戦争のための兵糧を集めていると考えるべきだろう」

「なるほど。研究開発部としてはコースケを北方に派遣するのは反対したいけど、仕方がないと思う」

「まぁ、一応缶詰の生産も即席麺の生産と管理についてもある程度目処がついたもんな」


 方向性はある程度決まったので、作業は既に地味な試行錯誤の段階に入っている。缶詰は適する内容物の模索と試作品作り。即席麺に関しては麺の太さや蒸し時間、熱乾燥の時間の模索と食味の追求の段階だ。こればかりは試行錯誤を繰り返して最適値を探っていくしか無いからな。


「コースケを北に派遣するのですか」

「ああ。両国が攻め入ってきた時に備えて防衛体制を整える必要があるからな。無論、今すぐではなく防衛計画を練ってからになるが」

「作業そのものはそんなに時間掛からんしな」


 俺の能力を使えば丸一日で砦どころか要塞だって作り出せる。冬が終わるまでにはまだ一月ほどはあるので、しっかりと計画を練ってから俺を動かしたほうが効率が良いだろう。


「そうなると、東側の防衛計画も早急に進めるべきであるな」

「うむ。北方の混乱に乗じて聖王国が攻めてくる可能性も無くはないからな。難しいとは思うが」


 聖王国は秋口に二万もの軍勢をメリナード王国領に送り込んでテクニカルエアボードと俺の自動擲弾銃による攻撃、それにハーピィ爆撃隊による航空爆撃で完膚なきまでに叩き潰されている。

 二万の軍勢というのは聖王国の総兵力からするとさして大きな戦力というわけではないが、即座に穴を埋められる規模の戦力というわけでもない。


「多分アレだよな。俺達の手の内とか戦闘能力を分析するための行動だよな」

「恐らくな。属国に我々を攻撃させて、攻略の糸口を掴もうという魂胆だろう」

「だよなぁ……」

「コースケの護衛には気をつけなければならんのであるな」

「ん。私達の最大の弱点」

「ですよねー」


 俺という存在はメリナード王国躍進の原動力であり、また同時に最大の弱点でもある。俺が敵の立場ならどんな手を使ってでも俺を味方につけようとするか、手っ取り早く消す。まぁ、易々と消されるつもりはないけど。でも前例があるからなぁ……あのファッキン狐野郎め。春になったらまた毛を刈ってやろうか。


「護衛なぁ……ライム達を連れていけたら最強なんだが」

「むりー?」

「無理ね」

「無理なのです」


 部屋の隅やら天井やらからライム達が湧き出してきて俺の言葉を否定する。彼女達は基本的にメリネスブルグというか、メリネスブルグの王城から離れられないからな。下水道や脱出用地下道という裏技はあるけど、それも限界があるし。


「グランデと信頼できる兵や冒険者に頼るしかないな。ザミルも西の警備から離せないし、私やメルティ、アイラはメリネスブルグから離れられん」

「私は動けますよ」

「護衛対象を増やしてどうするのよ」

「むぅ」


 エレンが手を挙げるが、メルティに即座に却下される。エレンの真実を見抜く能力は頼りになると思うけどな。奇跡の力も凄いし。でも、近づかれると俺以上に非力だからなぁ。


「グランデはあんまりこういうことに巻き込みたくないんだがなぁ……」

「それはそれ、これはこれだ。私もグランデを聖王国やその他の人族同士の戦場に連れ出してドラゴンとしての力を振るわせるのは反対だが、戦場以外の場所でコースケの命を狙う相手からの護衛に関しては頼っても良いと思う」

「過保護。コースケと一緒に居ればある程度人族同士のいざこざに巻き込まれるということはグランデも理解している。頼れるところは頼るべき」

「ぬぅ……グランデに話してみる」

「そうしてくれ」


 きっと事情を話せばグランデは強力してくれると思うけど、好意につけこんであんまり便利に使うのはなぁ。うーん……とりあえず話だけはしてみるか。

魚雷をぶち当てた時の快感は最高_(:3」∠)_

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 誤字がありました 章の最後ですが、 正)グランデは協力してくれる 誤)グランデは強力してくれる
[気になる点] う~ん、今回の話は納得できないですね。 狐に騙され拉致られたのは「大事件」であると思うのに、 あまりに考え無しの立案。 コースケの博識を活かすのであれば日本人なので、 「忍び・間者・草…
[一言] 魚雷当てたときもだけど、主砲でバイタル抜きして大ダメージ与えた時の快感はヤバい。 ぶっちゃけ制空権とるかより効率的な対空攻撃方を編み出さなきゃ聖王国に未来はないと思うが……
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