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ご主人様とゆく異世界サバイバル!  作者: リュート
戦争に向けてサバイバル!
185/435

第184話~Curiosity killed the cat~

今更だけどこの小説は残酷な描写を含むゾ☆

苦手な人は一気にあとがきに飛ぼうね_(:3」∠)_

「先制攻撃で全滅させる、が楽ではあるんだけどなぁ……」


 明確に俺を尾けているわけだし害意がゼロとは非常に考えにくくはあるんだが、万が一害意が無かったりする場合は大問題である。いや、そうだとしても死体ごと全てインベントリの中に秘匿してしまえば問題自体が消えて無くなってしまうのだろうが、それは俺が嫌だ。

 森に入った俺はコマンドアクションのスプリントも併用して高速で森の中を駆け抜ける。敢えてストレイフジャンプは使わずに、痕跡を残していく。そうして暫く進むと、少しだけ森が開けた場所に出た。その開けた場所も突っ切り、再び森に入った場所で自前のジャンプとコマンドジャンプを併用した二段ジャンプで木の上に登る。


「俺もいつの間にか大概人外じみてきたよな……」


 ぼやきながら同じ要領で木から木へと飛び移り、今しがた突っ切った開けた場所を回り込むようにして移動し、開けた場所を真横から俯瞰できるような木の上に潜伏する。


「じゃじゃーん、消音狙撃銃ー……」


 小声でそう言いながら俺がインベントリから取り出したのは銃身の殆どが大型サプレッサーで覆われている消音狙撃銃だ。有効射程は凡そ400m程と短いがコンパクトで、専用に開発された大口径の亜音速弾を使用することによって絶大な消音効果を持つ逸品である。10連マガジンと20連マガジンを使用できる。フルオート射撃も可能な使い勝手の良いヤツだ。

 ゴーレム作業台を使えるようになって工作精度が上がったおかげか、こういった比較的高度な機構を持つ銃も作れるようになった。まぁ、コストが高いから量産とか絶対無理だけどな。弾丸のコストはそんなに変わらないんだけども。

 ちなみに、ポリマー系やゴム系の素材はスライムで代用できることがわかっている。これがわかってから俺はちょくちょくアーリヒブルグの下水道に潜ってスライム掃除をしているんですよ、ふふふ……火薬の材料も一緒に採れるしね! あんまり何度も行きたくはないんだけど、スライム素材は使い勝手が良いんだよなぁ……ライム達に分けてもらえないだろうか?

 そうして消音狙撃銃の薬室に初弾を送り込み待つこと暫し。俺を追跡してきたと思われる三人組が開けた場所の縁にその姿を現した。あからさまに待ち伏せしやすい場所であると感じたのか、三人組はかなり警戒している様子である。なかなか開けた場所には出てこない。


「──……みは持ってなか──……」

「このまま──……見失う──……」


 何か手短に話し合っているようだがよく聞こえないな。シルフィとかメルティならきっと聞こえるんだろうけど。俺の耳は長くもないし、ケモミミでもないからね。仕方ないね。

 結局彼らは危険性よりも俺を追跡する方を優先することにしたらしく、警戒しながら俺の設定したキルゾーンへと足を踏み入れてきた。いや、キルはしないつもりだけどね。少なくとも今はまだ。

 目標は目算で50m以内といったところ。この銃に使われている弾薬は弾頭重量が重く、長距離の狙撃をする場合は弾頭の落下も計算に入れなければならないシロモノだったりするのだが、この程度の距離ならばそこまで気を遣う必要はない。

 俺は光学スコープを覗き、その照準を追跡者達──全員男であるようだ──の膝に合わせた。それはもうとっても痛いだろうし、ちゃんと治療しなければ膝に矢を受けたどころじゃない騒ぎになるだろうが、敵対者で無かったのであればポーションとスプリントで完治できると思うので許して欲しい。

 トッ、という非常に小さな発砲音と同時にカシャッ、という機関部の作動音がする。次の瞬間には狙い通りに一番後ろを歩く追跡者の膝辺りに赤い血の花が咲いた。


「ぎぃっ!?」

「っ!?」


 突然後ろから上がった苦悶の声に前を歩く二人が後ろを振り返る。はい、いただき。

 再びトッ、という小さな発砲音を立てて凡そ秒速300mで銃口から飛び出した16グラムほどの鉛弾が森の清浄な空気を引き裂き、二人目の膝より少し上、太ももあたりに着弾した。

 着弾した鉛弾は革の防具をいとも容易く貫通し、表皮を引き裂き、筋肉組織へと突入し、肉体の中で横転を起こして太腿の筋肉組織や血管をズタズタに引き裂いて大きなダメージを与える。


「があぁっ!?」


 二人目もまた足を押さえながらもんどり打って倒れる。最後の一人は何が起こっているのかまだ把握できていないなりに攻撃を受けているということは理解したようで、身を低くして警戒態勢を取った。

 が、ダメ。銃の存在を知らない彼は咄嗟に伏せるという選択肢を取ることができない。多少身を低くしたところで俺の狙撃から逃れることは不可能だ。

 三度小さな銃声が鳴り、三人目が地に伏す。


「……割と躊躇なく撃ててしまったな」


 独りごちながら倒れた三人の追跡者をスコープ越しに観察する。三人目は当たりどころが良かったのか、一度倒れたものの再び立ち上がったので逆側の足に一発撃ち込んでやった。


「ああああぁぁッ!」


 物凄い悲鳴を上げている。痛かろうなぁ。しかし後続が居る可能性があるので、すぐに姿を現すわけにはいかない。ああやって呻いて倒れているのも俺を誘い出す演技かもしれないからな。もしかしたら俺の作るライフポーションみたいな回復手段を持っていて、それを使って俺が近づいてくるのを待っているかもしれないのだ。

 なんか一思いに殺すよりも酷いことをしているような気がしてくるが、これも俺の安全のためだ。

 三分ほど待っても後続は現れなかったので、ちょっと早いかもしれないが姿を現すことにする。消音狙撃銃はインベントリに仕舞って、短槍と盾を構えて、だ。

 サクサクと草を踏み分けながら三人に近づき、声をかける。


「よう。単刀直入に聞くが、何の目的で俺を追っていた?」


 既に近づいてくる俺の存在には気付いていたらしい。一番最初に膝を撃ち抜かれた男が地面に倒れたまま俺の顔を見上げてきた。他の二人も撃たれた場所を押さえながら俺の顔を見上げてくる。その表情は苦痛でこの上なく歪んでいた。二人目は大腿部の動脈をやったかと思ってたんだが、どうやら致命傷ではなかったらしい。いや、薬か回復魔法か何かを使ったのかな?

「貴様、俺達にこんなことをしてただで済むと――」

「あー、いや、そういうのいいから。単刀直入にって言っただろ? まぁ、その反応で少なくとも俺と友好的な関係を築こうとしたわけじゃないってのはよくわかったけど」

 そう言って俺は槍を地面に突き刺し、インベントリから拳銃を取り出した。45口径で、マガジン装弾数は7発。サブマシンガンといい拳銃といいお前45口径好きだなって? 悪いな、俺は45口径信仰者なんだ。亜音速弾ということもあってサプレッサーの効果も高い。最高だな。


「だとしたらどうする? 素直に喋るとでも?」

「いや? 三人いるし一人か二人減っても良いかなとは思ってるが」


 そう言って俺は挑発的な視線を向けてくる男の肩に銃口を向け、引き金を引いた。

 パンッ、と弾けるような音と共に飛び出したおよそ15gの弾頭が男の肩に着弾し、皮膚を引き裂いて骨を砕く。至近距離で大口径の拳銃弾を浴びた男は悲鳴を上げながら草地の上でのたうち回り始めた。自分でも驚くほどに躊躇なく引き金を引くことが出来た。もしかしたらアチーブメントの大量殺戮者辺りが何か精神に特別な作用をもたらしているのかもしれない。

 肩を撃たれて悲鳴を上げながらのたうち回る仲間を見て、残りの二人が顔面蒼白になる。


「もう一度聞くが、何の目的で俺の後を尾けてきた?」


 静かにそう言って両足を撃ち抜いた三人目の脛あたりに銃口を向ける。


「は、話すことはな──ぎゃあぁぁっ!」


 パン、と音が弾ける。今回は敢えて外したが、男は白目を剥いて気絶してしまった。最後の一人、俺に太腿を撃ち抜かれた男に銃口を向ける。


「あんたはどうする? 同じようにもう一発喰らいたいか?」

「は、話す! 話す!」


 三人目の男は撃たれた太腿を押さえながら銃口から逃れるかのように身を捩った。その眼にはありありと恐怖が浮かんでいる。未知の手段で傷を負わされることに対する恐怖心が彼の心を完全に支配してしまったのだろう。


「じゃあ、話してもらおうか」


 嘘を言われる可能性もあるが、こいつをライム達のところに連行して彼女達に任せれば裏は取れるだろう。彼女達は前にのうみそこねこねできるようなことを言ってたしね。もうスライムというよりはショ○スなのでは? と俺は訝しんだが、考えてみればスライムという存在の原型となったものがシ○ゴスだったような気がするのであまり変わらないな、という結論に至る。

 男が語った内容はそれなりに興味深いものであった。早い話がこいつらはエレンが俺達解放軍と内通しているのでは、という疑いを持った主流派の連中が派遣した諜報員であるらしい。

 とはいえ、ガチのアドル教主流派の子飼いの諜報員というわけではなく、聖王国に存在するアウトロー集団……つまり盗賊ギルドめいたところから派遣されてきた人員なのだという話だが。


「なるほどなぁ、おたくらも大変だねぇ」


 よりによって解放軍にとって機密の塊でしかない俺を追跡してしまったのは不運としか言えない。

 恐らく、俺が堂々と正面から紹介状を使ってエレンに面会したのが原因だろうが……まぁ、運が悪かったな。俺と銃の存在を見られてしまった以上、生かして帰す事はできない。俺としても万全を期すために使わざるを得なかったしな。

 頭の中に残弾を思い浮かべながら俺は立ち上がり、今話をしていたのとは別の二人の様子を横目で見た。どうやら二人とも気絶しているようだ。俺はそのうち一人の額に照準を合わせ、引き金を引いた。

 パンッ、という音と共に気絶していた男の身体がビクリと跳ね上がる。額に穴が空き、地面に草地だというのにわかりやすく血溜まりが広がるのが見える。それを見て俺に全てを白状した二人目の男はガチガチと歯を鳴らして震え始めた。

 パンッ。もう一人の身体が震える。同時に、俺は二人の死体をインベントリに収納した。本来、尋問を行う場合は複数人に同じことを問いかけて整合性を取る必要があると聞くが、脳みその中身を直接見るなら一人で十分だろう。俺一人で二人も三人も引き連れてライム達のところに連れて行くのは骨が折れるしな。

 俺はインベントリから金属製の手錠を取り出し、恐怖に震えている生き残りの男の両手に嵌めた。


「怪我は治してやる。大人しく俺に着いてこい」

「し、しっ、しにたくっ、しにたくな……」

「大人しく言うことを聞けば考えてやるさ」


 考えてやるだけだがな、と心の中で呟きながら男の太腿にライフポーションを少しかけて、残りを飲ませる。そうすると、たちまちのうちに男の太腿の傷は完治してしまった。相変わらず気味が悪いくらい効くな、ライフポーションは。

 俺は男を立たせ、地面に突き立てたままだった槍と、手に持っていた拳銃と盾をインベントリに収納してサブマシンガンを取り出す。ついでに薬莢の回収もしておく。


「俺の指示通りに歩け。お前にはまだ聞きたいことがある」

「な、なぁ! 全部話すから! 助けてくれよ! 頼むよ!」

「黙って歩け。お前もお仲間みたいに脳味噌ぶち撒けてこの世から消えたいか?」

「ひ、ひぃッ……」


 男のケツを後ろから蹴って歩かせる。気が滅入りそうだ。

 でも、今更ではあるわな。1000人も爆弾で吹き飛ばしておいて。もっと言えば皆に武器を手渡してガンガン聖王国とを戦わせておいてって話だ。自分の手を直接汚すのくらい、なんてことはない。そう、なんてことはないさ。

 俺は自分にそう言い聞かせながら男のケツを蹴り上げつつ、ライム達の寝床へと向かうのであった。

飛ばした人向け☆

・消音狙撃銃で三人を無力化したよ☆

・拳銃で脅して情報を聞き出したよ☆

・脅しに屈してゲロった一人だけを残して始末したよ☆

・ねぐらに連れ帰ってライム達にのーみそこねこねしてもらうよ☆


だいたいこんなかんじだよ_(:3」∠)_

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― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公がいきなり格好良くなって戸惑ってる。 おかしいな・・・この主人公って1人行動してる時のノリが滅茶苦茶ウザいのに。
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