第152話~ファッションショー再び~
平成最後の投稿!_(:3」∠)_
「魔法はズルくないかねェ……?」
「ズルくない」
どうも。コースケです。シュメルにぶっとばされて地面に転がっているコースケです。ちなみにベラはぶん殴られてノックダウン、トズメは砂を顔面にかけられて大きなお目目に目潰し食らって悶絶しています。
倉庫から戻るなり早速白くてフリフリでふわふわなドレスを作ってシュメルに着せようとしたんだけど、当然のごとく拒否された。そして打ち鳴らされる戦いのゴング! コースケくん吹っ飛ばされたァー! で、気がついたらこうなってました。
今、シュメルは輝く光の輪で四肢をそれぞれ拘束されて大の字に拘束されている。ちょっと身体が浮いてるな。それにしてもアイラの魔法すげぇな!
「そもそも、ただ服を着るだけの話。別に屈辱的な服を着せられるわけでもなし、その程度のことで暴力を振るうシュメルは心が狭い。冒険者風に言うとケツの穴が小さすぎる」
「あたしの服を無理矢理剥いで、あたしが着たくない服を無理矢理着せるのは横暴ってモンじゃないのかねェ……?」
「本当に着たくない?」
アイラがジッとシュメルを見つめると、シュメルはそっと目を逸らした。
「大丈夫、皆着るから恥ずかしくない」
そう言うアイラに俺は親指を立てて応えた。良いだろう、全員分作れば解決ってことだな。
というわけで全員分作りました。フリルとレースたっぷりの純白のドレスを。
「や、やっぱ似合わないよォ……」
「いや、姐さん似合ってるっすよ。可愛いというか綺麗っす」
「な、なんだか落ち着かないわね」
「コースケ、似合ってる?」
「似合ってる。超似合ってる」
シュメルはフリフリふわふわドレスを着て顔を真赤にして涙目になっているし、トズメは落ち着かないのかモジモジとしている。意外とベラが平然としているな。自分の状態よりもシュメルやトズメの方が気になっているだけかもしれないけど。
そしてアイラ。アイラ可愛い。ヤバい。語彙力が低下するレベルでヤバい。何故俺の能力の中にスクリーンショット機能がないんだ!? F2を意識してもF12を意識してもPrintScreenを意識してもカシャッって音は聞こえてこない。クソが。
「他にも色々作ってみよう」
「ん、着てみる」
「しかし何にするかな……よし、シュメル達に似合いそうなので行こう」
というわけで、デニムのホットパンツにショート丈のタンクトップという超薄着、肌露出多めの攻めたコーデにしてみました。
「さっきのよりは随分マシだねェ」
「ちょっと丈短かすぎないっすか? 下から覗けちゃいません?」
「部屋着に良いかもしれないわね。丈はもう少し長いほうが落ち着くけど」
「コースケ」
「肌の露出が多くて大変眼福にござりまする」
どーん、ばきーん、どかーんなシュメル達には素晴らしく似合う。ばきーんというのは引き締まってるというか六つに割れてる感じだからね、彼女達。マッスル。
アイラはどうだって? ロリ体型にホットパンツもこれはこれでなかなかに良いものだと思います。アイラの白い肌が目に眩しい。
「普通の丈のタンクトップはこれ」
「あ、これは良いわね。何枚か欲しいわ」
「良いぞ」
「あっ、あたいも欲しいっす!」
「あたしも欲しいねェ」
「OKOK、五枚ずつやるからこれから作る服も着るようにな」
彼女達のサイズはほぼ一緒なので、同じ大きさのタンクトップを十五枚作れば良い。これくらいちょちょいのちょいである。
そして次はこれだ。
「首のリボンを締めてボタンを上まで留めてると窮屈だねェ」
「緩めて二つ三つ外していいっすか?」
「なんとなく引き締まった気分になるわね」
「かわいい?」
「可愛い!」
半袖Yシャツに短めのプリーツスカートでJK風にしてみました。全体的に犯罪臭がするのは内緒だぞ。
シュメルとベラは早速リボンを緩めてボタンを外して風紀を乱し始めた。うん、まぁ狙い通りだよね。トズメは意外とカッチリとした服装が嫌いじゃないようで、しっかりと着こなしているな。うん、クール系。風紀委員長かな?
アイラはねぇ……うん、犯罪臭しかしない。女子高生をイメージした服装のはずなのに、良いところのお嬢様が通う小学校……これ以上いけない。でもこれは良いものだと思いますよ。ええ。
「おっ、これは良いっすね。生地も頑丈そうで」
「森の中なら紛れられそうだねェ」
「荒野だとかえって目立ちそうだけど」
「似合う?」
「アイラには可愛い格好の方が似合うな。それはそれで可愛いけど」
「そう」
今度は頑丈な生地で作った迷彩服を着せてみた。うん、鬼娘三人が着ると似合うわ。アイラが着るとなんか仮装した子供にしか見えないけど。
「いや、これは……」
「ちょ、ちょっと恥ずかしいっす」
「これはないんじゃない……?」
「似合う?」
「アイラには似合い過ぎてるくらい似合ってるな」
今度はリリカルでマジカルな感じのミニスカ魔法少女服を着せてみました。とりぷる☆鬼キュア爆誕。
シュメルはピンク系、ベラは赤系、トズメは水色系で。アイラは黒系にしてみた。どうにもシュメル達はこういうフリフリふわふわヒラヒラ系の衣装に忌避感があるようだ。別に変じゃないし、可愛いと思うけどなぁ。
「シュメル達って防具らしい防具をほとんど装備してないよな」
「あァ? まァ、私達の体格に合わせて防具を作ると高くつくし、あまり重いと動きが鈍るからねェ。冒険者は兵士と違って長く歩くし、自分達が飲み食いする食料や水も運ばなきゃなんない。重い防具なんて装備してる余裕はないのさァ」
「なるほど。じゃあそういう服に防御効果があれば解決だな!」
「いや、もっとヒラヒラの少ない服にして欲しいっす。こんな衣装じゃ森とかに入ったらあちこち引っ掛けてすぐにボロボロになるっすよ」
「さっきの迷彩服? とか、ああいうのが良いわね。虫とかヒルとかを避けるために肌の露出も控えたいし」
「ロマンがない!」
「冒険者稼業にはロマンがあるっすけど、実際の仕事そのものは地味でロマンの入る余地が無いくらいシビアなんすよ」
「世知辛いなぁ……ああそうだ」
俺はインベントリから一枚の革を取り出した。一枚の、とは言っても非常に大きな一枚皮である。
「この革で作ってやろうか、防具」
「デカい革っすね。何の革っすか?」
「ワイバーン」
「へぇ、ワイバーン……ワイバーン!?」
アイラの解説にトズメが仰け反った。
「ああ、グランデと出会ったソレル山地で襲いまくってきやがってな。まったく面倒な奴らだった」
「え、これコースケさんが狩ったんすか?」
「ああ」
「ワイバーンを狩るような人にあたい達の護衛って必要なんすかね?」
「こいつは甘ちゃんだから、コロッと騙されて拐われたりすんだよォ」
「確かに人は良さそうですね。底抜けに」
シュメルの言葉にトズメが頷く。そんな彼女達をよそに、俺は周囲に視線を彷徨わせた。
「……そういやグランデは?」
グランデの姿が見当たらない。あれ? いつから見失ってた?
「……そう言われるとご飯食べてた時にはもういなかった気がする」
「マジで……? まぁ、グランデは子供じゃないし、分別もある性格だから大丈夫だと思うが」
ここの住人は穏やかだし、滅多なことは起こらないだろう。しかし心配ではある。
「えーと、どうするかな。探しに行ったほうが良いよな」
グランデの保護者的な立場を自認する俺としてはそうするべきだと思うんだが、グランデも子供ではないし、この後方拠点なら迷子になってもさほど危険なこともなかろうし、と考えるとうーん……やっぱり探しに行こう。
「あたしらが探してくるから、あんたはここにいなァ。ハーピィ達と一緒に行動してて、入れ違いになるかもしれないしねェ」
「そうね。ベラは残って。護衛役が一人もついていないのは良くないから」
「そうっすか? わかったっす。ここで待ってるっす」
「そうしなァ……その前に着替えるよ」
そう言ってシュメルはフリフリの魔法少女服から普通の服装に着替えるために家の中へと入っていった。そのままいけばいいのに。間違いなく皆の注目の的だぞ!
「あー、どうすっかな。なんか落ち着かないな」
「慌てる必要はなにもない。コースケの言ったようにグランデは子供じゃないし、そもそもグランドドラゴン。少し放っておいたくらいで死んだり怪我をしたりすることはないから」
「そうっすよ。心配しすぎっす。案外子供に混じって遊び回ってたりするんじゃないっすか?」
子ども達に混じって遊び回るグランデ……違和感がなさすぎる。
「慌てても仕方ないか……そうだな、うん。じゃあワイバーンの革で防具でも作って待ってるか」
「私も欲しい」
「アイラに革鎧は要らないだろ……ああ、でも翼膜でマントを作ってみるか」
「ワイバーンのマント楽しみ」
「あの、ワイバーン革の装備って金貨が何十枚も飛ぶ装備なんすけど、わかってるっすか……?」
「大丈夫だ。自分で調達して自分で作る分には無料みたいなもんだから」
「そう言う問題じゃないと思うっす……」
溜息を吐くベラをスルーしながら俺はゴーレム作業台のクラフトメニューを開いた。お、シュメ達の武器も出来上がっているな。戻ってきたら早速試してもらうとしよう。
活動報告にコースケ、シルフィ、それにアイラとキュービのキャラデザインをアップしてあるよ!
興味があったら見てみてね!_(:3」∠)_




