第133話~平和で心地よい朝ではなかった~
今日はね、今日までしか出現しない期間限定のボスキャラを倒してきたので時間がなかったんです……短いけど許して!_(:3」∠)_
シルフィと二人きりでとことんイチャイチャしながら夜を過ごし、翌朝。
目を覚ますと、既にシルフィはベッドから抜け出していた。なんだか良い匂いがする。どうやらもう朝食を作り始めているらしい。
「おはよう、シルフィ」
「ああ、おはよう」
既に身支度を終え、台所に立っていたシルフィがこちらに振り返った。ラフな服装に黄色いエプロンをつけたシルフィの姿に愛しさと尊さが溢れ出してくる。思わず拝んでしまった。
「朝から何をしているんだ……裏庭に水桶を用意しておいたから、さっぱりしてこい」
「ありがとう。さっぱりしてくるよ」
シルフィにしっかりとお礼を言って裏庭へ向かう。謝罪や感謝の言葉はいくらでも言うべきだよな。親しい間柄だからってその辺りを疎かにするのはよくない。おはよう、ありがとう、ごめんなさい、そういう言葉は人間関係におけるとてもローコストな潤滑油だと思う。
裏庭で久々の水浴びをする。最近はずっと温かいお風呂に入ってたからなぁ。この家にも風呂場を作るべきだろうか? 俺の作業小屋を解体して風呂場にしようかな。
居間に戻ると、既にシルフィが朝食の準備を整えていた。
「戻ってきたな。さぁ、朝食にしよう」
今朝の食事は蒸した芋と、野菜と豆のスープ、それに焼いたベーコンと茹でた卵だった。
「朝からボリューミー」
「昨日の夜はよく運動したからな」
「そうだな。それに今日も大冒険の予定だもんな。朝飯はしっかり食わないとだ」
「うん」
熱々の芋にエルフ製のバターのようなものをつけていただく。うーん、バターみたいだけどバターじゃない。マーガリン……? 美味しいからなんでもいいか。
スープはあっさり塩味で野菜の甘味が引き立つ。豆のおかげで食べごたえも抜群だ。ベーコンは塩っ気が強いが、蒸した芋とよく合う。チャボ鳥の卵は固茹でだ。シルフィは茹で卵は固茹で派らしい。俺はどっちでも良い派。茹で卵に塩を付けてモグモグするのって幸せだよな。
「美味しいよ、シルフィ」
「そうか? コースケの料理のほうが手が込んだものが多いと思うが……」
「そうなのかもしれないけど、俺はシルフィの料理が好きだ。なんというか、俺の作る料理は出来合いって感じが強いんだよな。シルフィの料理は手作りの温かさというか、確かな満足感がある」
「そうか……うん、嬉しいな」
シルフィはそう言ってとても嬉しそうに微笑みを浮かべた。
☆★☆
食事を終えたら冒険の準備である。
俺は革の鎧を身に着け、頭に鉄製の兜――は今はいいや。グランデが来てからでいいだろう。これにショートカットに登録してある武器を装備すれば武装完了だ。
ああ、腰にミスリルショートソードくらいは差しておくか。
「これで準備完了」
「こちらも準備完了だ」
シルフィはいつもの黒い革製のライダースーツのようなものを装備し、左腰にペイルムーン、右腰にリボルバー、腰の後ろに鋼製のククリナイフを二本。完全武装だ。
「後はグランデ待ちだが――」
『GYAOOOOOOON!(ハンバーガーを要求する!)』
『GOAAAAAA!(酒! 今日も酒を!)』
『GYAOOOOOOOOOO!?(兄上えぇぇぇぇぇ!?)』
またもや副音声付きで咆哮が聞こえてくる。昨日も聞いたわ、こういうの。
「向こうから来たわ」
「そのようだな」
俺の言葉にシルフィが苦笑する。
「今度は何だって?」
「グランデの兄二人が飯と酒をたかりに来たらしい」
「ほう……どうするのだ?」
「相手の態度次第だな」
対等な友人として付き合おうってんならよし、そうでないなら……まぁ、それなりの対応をするとしようか。メルティはいないが、シルフィもいるしなんとかなるだろう。




