脱いだらすごい
『都はこの春学の生徒会規則を知らないのか?生徒会は選挙で決めることもないことはないが、基本的には戦闘で勝ち取るものだ。前の体制を撃ち破った者が会長になり、自由に役員を任命できる。神たちはこのバトルに勝利したんだから、ただちに生徒会を構成することになった。』
『そ、そんな。生徒会になるつもりでここに来たんじゃないし、そもそもこいつらに呼ばれたからここにいるんであって。』
『それこそが、正当なる権利だろう。都が呼ばれたということは生徒会長は都だ。この神が都の風下になることは屈辱だが、そうでもないぞ。【愛す】の一件もある・・・』
『【アイス】?』
『な、何でもない。さっさとやれ。』
美緒は急に赤くなったような。慌てて般若面を装着したため、顔は見えなくなったが、喉のあたりが赤くなっている。
「なんだか納得できないんだが。仕方ない。おい、政宗。お前は何が不満なのか、何を追いかけていたのか?教えてくれ。」
政宗はどっかと地べたに腰を下ろし、胡坐をかいた。オレも同じ姿勢をとった。
「俺は負けたんだ。敗軍の将、兵を語らずなんだが、兵のことではなく、俺のことなら話してもよかろう。こんななりをしているが、これでも一応俺は女だ。年頃になり思春期を迎えた。」
「へええ。意外だな。馬子にも衣装みたいな。」
「茶化すんじゃねえ。ハズいだろ。」
「すまん。続けてくれ。いや下さい。」
「俺はある時、仲間たちと川で水遊びをしていた。魚を捕まえていたんだな。鮎を捕まえて、みんなに見せようとしたら、手から逃げて、飛んで行ってしまった。それがそばを通りかかった侍に当たってしまった。とんでもない失礼をしてしまったと、すぐさまお詫びにいった。衝撃の出会いだった。それはそれはとても凛々しい殿方だった。」
「ベタな出会いだな。」
「俺の思いでにツッコミをいれるんじゃねえ。」
「いや、これはオレの性分で。」
「そんなのやめてしまえ。ゴホン。そして、俺にはその方を思い続ける日々が続いた。いつかその方と○○○。ぐふ。」
「何照れてる。それでも武将か。」
「俺は女だ。ほっとけ。しかし、俺には悲劇が待っていた。ヒロインとはこういうものだ。」
「いきなりヒロインに昇華したな。」
「ヒロイン、なんと憧憬される言葉。おいといて。俺は自分の気持ちを母親に伝えた。母親とは仲がよく、尊敬していた。すると母親は応援すると言ってくれた。嬉しかった。だがまだ若いので、ちょっと待つように諭された。母親はあの方のことを知っているようだった。」
「もったいつけるんだな。ガマンが大変だったろう。」
「女の恥じらいを知っていると表現してくれ。それから数年が経過し、俺もすっかり女らしく成長した。」
「そうはみえないが。」
「脱いだらすごいんだぞ。」
「どれどれ。」
『『『『ギロッ』』』』。黙って聞いていた四人が都に刺す、いや貫くような視線を浴びせかけた。
「すまない。生徒会としての職務を全うする。」
オレは正座した。




