神への質問
『まさか。そんな大物がジバクとは。確かにみんな死んでいるし、現世に悔いを残していてもおかしくはないな。戦国時代の英雄なんて、すべて満足して死んだなんてあり得ないしな。そもそも人間の欲望に限りはないし、その中でも飛びきりの連中だな。そちらが名乗った以上はこちらもそうすべきだが、ジバクにそんなことをする必要はない。でも偉人を前にしておまけしておこう。この神は神代美緒だ。』
『神代たちはいったい何しに来たのかな。というより我らを征伐しに来たんじゃないのかのう。』
信長は自分の頭を撫でながら糸電話に空気を送り込んでいる。
『そうだったな。じゃあ、すぐにここから消えてもらえるのか。』
美緒の額は『無』と表示されている。冷静である。
『まあ、それは条件次第じゃな。成仏させたいなら、こちらの要求を呑んでもらおう。我らはストレスでいっぱいなんじゃ。だからゲームでもして気持ちを明るくさせてくれたら言うことを聞いてもいいぞ。』
『よかろう。しかし、さきほどのようなセクハラはダメだぞ。』
『承知。あやつ、光秀はロリコンの気があってな、注意しなければならん武士ではある。おい、光秀、もうあんなことやってはならんぞ。』
『御意。御屋形様の仰せのままに。』
光秀はあらぬ方を向いて、返事をした。言葉とは裏腹に忠誠心は感じられない。これで大丈夫か。
『それではどんなゲームをやりたいのか、言ってみよ。』
『我らも武士のはしくれ。しろぜめじゃな。』
『城?そんなものはここにはないぞ。』
『しろといってもその城ではない。しろくろつけるという意味じゃ。』
『というと?』
『質問攻めのことじゃ。』
『つまり、この神たちに質問をしたいということかな。』
『そういうことになるな。それでよいか。』




