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胸からアレ

「な、何言ってるのよ。恥ずかしいじゃない。あんまり見ないでよ。」


 からだをよじっている。軟体動物か。


「それが正装じゃないのか。」


「そんなことないわ。これは戦闘用なのよ。」


 たしかに、昨日釣りあげた時は白いワンピースだった。それはそれで十分なる美少女だった。


「今の感想、口に出して言ってよ。」


「はあ?なんのことだ。白いワンピース?」


「その次よ。」


「だった?」


「あと少し。」


「それはそれで?」


「じ、じれったいわね。」


「てことは、十分なる?」


「そこよ。その次の言葉はっ!」


「・・・忘れた。ゴメン。」


「バカ~!!!」


 これで心の交流はできたかな。


「どうやって、学校に入るんだ。校門も、校舎入り口も頑強な鍵に閉ざされているぞ。小遣いをネダるオレに対する親の財布状態だぞ。」


「そんな財布はセレブからすると、空気中のチリだわ。」


 うん、正解。オレは貧乏であることを痛感させられた。


「こうすれば簡単よ。」


 由梨は水着の胸の部分を外した。


「ちょ、ちょっと、心の準備がぁ~!」


 いきなりの過激行動に大当惑のオレ。


「鍵よ。夕方にちょろまかしてきたのよ。」


 由梨は胸から鍵を取り出したのだ。


「なんだ。がっくり。」


「あら、どうしたのかしら。」


「ちょろまかしてきたって、セレブには似つかわしくない言葉だぞ。」


『がっくり』ということを追及されないように会話運用。


「時と場合によるのよ。『セレブは目的達成のためには治外法権』という慣用句があるわよね。」


 そんな慣用句聞いたことないけど。ていうか、『辞書に文字はない』とかいう表現が適切ではないのか。そんなことより、ひとつ由梨に尋ねておかねばならないことが。


「どうして学校に行かなきゃならないんだ、それもこんな時間に。」


「さあ、どうかしらね。アタシもあのババアに言われてきただけだから。」


 いきなり、ババアとは!とても清楚なセレブとは思えない。


 オレたちは夜の学校に侵入することになった。


 説明するまでもないが、どこの学校にも『夜の怪奇伝説』が存在する。この春学にもやはりあるらしい。


 オレはオカルト系には興味がないので、詳しいことは知らないが、『春学七不思議』とか『苦不思議』『十三不思議』とか諸説あって、中国の戦国時代みたく百家争鳴状態にあるらしい。どうでもいいが。


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