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薄いは余計

「由梨たん、都たん。あれを見て。」



 万?は平気でヒトらしき者を指差した。社会通念上は失礼な行為であるが、相手は人間ではなさそうなので、問題なし?



「・・・・。」



「あれって落武者?」



 由梨は血の気がひいて言葉を失っている。ぼろぼろの甲冑を着た者がたくさん見える。髷が解けて、残バラ髪になっている者も目立つ。手にしている刀も歯こぼれしている。敵がいるわけでもないのに、矢を次々と放ったりもしている。さらにそんな姿で、バンドをやっているのはどうみても異様である。世紀末というのはまさにこの状況を表現するのに適切な言葉である。



 オレたちは隠れて見ているわけではない。ということは向こうからもこちらが確認できるのである。



「おい、あれなんだあ?」



 傷だらけで、流血夥しい侍のひとりが腕を大きく伸ばした。その指は明らかにオレを指している。



「万?。あれって、ジバクだわね。」



「正解だよ。多分攻撃してくるよ。どうやって料理するかな。投げキッスでもやっちゃおうかな。ねえ由梨たん。」

 のんきな万?。



「・・・・。ガクガク、ブルブル。」



 由梨は薄い胸のところで、両腕を交差させて、からだを巻いている。典型的なこわがりポーズだ。



「薄いは余計よ!」



 少し元気がでてきたようだ。


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