勝利者
「ピピピ。この女の誘萌力は950。アタシと比べると月と酢に入ってる酢酸ね。」
こんな時にユーホーキャッチャーを作動させている由梨。月と酢酸との比較は意味あるの?
「まっほもジョーカー持ってないよお。」
白衣と看護帽のままでここに来ている。コスプレーヤーではなかったようだ。巨大注射器を背中に負っている。見る限り危い人にしか見えない。これでも学園アイドルなのか?
「ピピピ。この女の誘萌力は2550。いいセンいってるけど、アタシの足元ギリギリね。」
変な評価。足元に及ぶということはそれなりにレベルが高いと言ってるのか?
「べ、別にジョーカーなんて持ってないんだからねっ!」
由梨は小さなからだをさらに丸めて、カードがどこからも見えないようにしている。
「「「「「持ってるのは由梨だ。」」」」」
全員の見解が一致した。
((賞品はどうでもいいけど勝負なんだからどうしても勝ちたいな。アイドル根性はっきい!))
万?がトリガーカードを取り出した。すると風が吹く。みんなでカードを取り合って、由梨の手からゆらゆらと離れた。ジョーカーのイラストはオレだった。
ダイエットに失敗した女子のような重苦しい雰囲気の中。
「勝ったあ!」
両腕を左右に広げて突きあげて、Vサインを構成したのは閻魔女王。
「ほら、負けを譲ってあげるんだからねっ。ありがたいと思いなさいよ。」
((うちが負けた?ってそれ、おいしいどすか?))
「まっほはアイドル活動が忙しいんだから冗談やめてえ。」
「神は勝利するものと決まっている。」
誰も負けを認めない。しかも四人共に自分の胸のあたりでごそごそ何かまさぐっている。勝利者の閻魔女王はそれを見てなぜかニヤリ。




