胸に灯る
『お前、都と言ったかな。男とわかった以上、この神の手には負えない。まっほの言う通りにするがよい。』
『はあ?今までのやりとりはいったいなんだったんだ!』
『気にするでない。神の仕業はすべての原理、正義である。』
(さっぱりわからない。)
『ブチッ』。いきなり音声が中断した。糸が切れたのだ。
「うほほほほ~い。じゃあ、まっほが都を診るよお。この紙に今食べたいものを書いて、飛行機作って飛ばしてえ。」
「それは診察と言えるのか。こちらは腹痛だ。食べたいものなんてないぞ。」
「じゃあ、お腹が治ったら食べたいものを書いてえ。」
意味がわからない。お腹の原因はたこ焼き。だからまったく別のものにした。そして、紙飛行機を作って、まっほに投げ返した。なんせ、紙。ゆらゆらと飛んだのはいいが、まっほを通り越してしまった。
「なんだ、これは。ま、まさか、いわゆるあれのことなのか。しかし、相手は男だし。むむむ。」
紙飛行機は美緒に到達したのだった。
「美緒、どうしたのお?」
(この紙には『アイス』とある。つまり『愛す』ということか。これはいわゆる告白というものなのか。初めてもらったぞ。勇気を振り絞ったが、自分の口から申し出することはできなかったのであろう。不届きな奴だ。下らぬ。捨て置くか。)
美緒は紙を破ろうとした。その時、『ぽっ』。胸に何かが灯った。




