保健室に向かう患者
「や、やめてください。ひやっ!」
消毒液を塗られてしまった。準備万端。
「いくよお。じゅる。」
ナース服は涎を拭いた。ちょっとヤバくない?
「うわあああ。刺される!・・・あれ?痛くない。そうか、本当に痛くしなかったんだ。」
床が紫色に染まった。ナース服はオレの前に突っ伏していた。コケたらしい。
「よくもやったなああ。悔しい。」
自分で転倒しながら、『やったなあ』は違うと思う。でもナース服は笑顔を絶やさない。むしろ、うれしそうだ。
「ちゅどーん!」
自分の中で何かが爆発したのだろうか。変身していた。
「逮捕しちゃうぞ。」
メタリックブルーの警察官服。帽子、ヒールも同じ色。お約束通り、スカートはひどく短い。両手で拳銃を構えている。拳銃というよりはバズーカ砲だが。危険度は急成長した。
「ちょ、ちょっと待って下さい。う、撃たないで。」
「抵抗したら撃つよ。抵抗しなくても撃つけどお。」
わけがわからない。ドアには閂がしこまれて、脱出不能状態に追い込まれていた。
「うきゃ!」
奇妙な声を上げると『ズドン、ズドン、ズドン、ズドン』と撃ちまくったブルーポリス嬢。
「うわああああ~。やられた~!ばたん。」
自分で言うくらいだから弾丸は当たってはいない。無差別に四方八方に打ち込まれたようだ。壁に大きな穴が開いた。ちなみに最後の『ばたん』はブルーポリスが倒れたもの。
「ふうふうふう。敵ながらあっぱれだあ。」
敵?オレって保健室に向かう患者じゃなかったっけ?




