不可侵条約
((セ、セレブどす?))
「そう。セレブ。アタシは現世ではスーパーセレブだったのよ。」
((そ、そうどす?つ、つまり、由梨はんはお嬢様だったということどす?))
「まあ、早く言えばそいうことになるわね。」
((こんな小さくて、胸が洗濯板な女子がお嬢様なんどす?))
「ちょ、ちょっと何かずいぶん失礼なこと言わなかった?」
((いや、空耳どす。))
(これはかなりヤバいどす。都はんはお嬢様を好みはるんやろか。探りをいれないかんどす!)
「もう疲れたから寝るぞ。」
本当に疲労していたので、そのままのことを述べた。
「そ、そうね。それがいいわ。ルンルン。」
「やけに嬉しそうどすな。」
「べ、別にそんなことないわ。さっきの闘いであれだけ活躍したんだから、疲れて当然よ。」
オレがベッドの真ん中に入ると、指定席である左側に入ってきた由梨。
「あ~ぬくぬく。この感触、生き返るわ。」
死んでてもそういう感覚はあるらしい。オレの左腕を柔道の決め技のようにしっかり掴んで放さない様子。
(す、スゴイどす。あんな風に殿方に添い寝できるとは!これがセレブなんどす。うちも真似しないと。)
何を思ったのか、絵里華も寝床に侵入してきた。不可侵条約を締結しているわけではないから、クレームのつけようはないが。折角ひとり減って広々と寝られると思ったのに。




