31/137
妄想
「ぐっ。息が詰まる。でもお前の考えはわかった。こんなことやめろ!」
都がそう言っても聞く耳持つような相手ではない。
都の顔色は赤から青く変色している。
髪の毛の締め付けがぞうきんを絞るようになっている。
このままでは都の命が危うい。
「ぐはっ!」
都が唾を飛ばした、その時。都のからだからシルクのような白いものが発光された。
『なんだこれは?まさか、こいつの思考が私に流れ込んだということなのか?』
オレの首を締め付けていたジバクの髪の毛が弛緩されたように見えた。
『違和感。』
『何のことだ?』
『お前の話には違和感がいくつかある。雨が降ってきたのに、人の数が変わらない。
それに歩く速度も変わらない。雨が降れば歩く速度は早くなるし、人通りも減るはず。
それに待たせたなと言う暴漢がいるのはおかしい。襲うのであればわざわざ待つ必要はない。
しかし、そんなことより、いちばんはオレの感覚。
お前の思考が流れ込んだ時に、辱めを受けたと言うのがイメージのみで、実感が見つからなかった。
つまり、その部分はお前の妄想だ!』




