後天的
オレの大きな声が細胞分裂のごとく四方八方に拡散した。
すると、凶器はことごとく手から離れ、床に落ちた。
オレは助かると同時にその場に倒れた。
クラスメイトたちは、何が起こったのかわからないが、眼の前に起こったことにパニックとなり、雲散霧消した。
クラスメイトは血だらけになっていたのだ。
あの時、オレの何かが発現したらしい。
しかし、冷静に考えると、今のオレがここで見ていたことが原因なのではとも思いオレの頭の中はグルグルとループし始めた。
『パチパチパチ』。
人形の小さな手が拍手をする。
なかなかかわいいとも見えるが表情はない。
儀礼的なモノであるのは明白だ。
((なかなかやりはりますなあ。合格どす。))
「何だ、合格とは。」
((うちと同じどす。うちは本体は喋りまへん。))
「それって、見たらわかるけど。もしかして・・・。」
((そう。自閉症どす。それが治らないまま現世を去ったんどす。))
さらりと重たいことをおっしゃる絵里華さん。
「これはいったい何なんだ?」
((見た通りどす。過去と現在が交錯してるんどす。意味はあるんどす。それだけで、あまり深く考えてはいけないんどす。))
「そうなのか。まあ、あまり悩まないタチなので。後天的にそうなったのだが。」
((それはいいこと。では今晩8時にここに来てくれなはれ。))




