いつものいじめ
「・・・。ここはどこだ?」
辺りは暗いままだが、さっきよりは視界がある。
暗順応を待ちながら、周囲を見渡す。どうも見覚えのある教室。何だかざわついている。
かなりの数の子供がいる。二十人以上はいるか。
それも集団で円を作り、真ん中の女の子を取り囲んでいる。
女の子はその場にしゃがんでいる。子供たちはオレには気づかない。
というのも、子供たちの目線はひとつに集中しているからだ。
「また女子の格好をしてる。」
「スカートがお似合いだこと。見苦しいけど。」
「髪もふたつ結びにしてる。」
「ランドセルは赤い女の子用だよ。いくら言っても変えないんだ。へんくつだあ。」
「女の子になりたいなら、『せいてんかん手術』とかいうのをしたら?」
「でも話し方は男っぽいよね。『オレ』とか言ってるし。」
「ホント、気持ち悪い。」
「うちのクラスから出てってよ。」
「他の教室に行っても同じだと思うけど。」
「そうね。転校でもすれば?」
「「「「「「「「「わはははははははははははははははは。ヘンタイ~!」」」」」」」」」」」」」
真ん中の少女は泣いてはいない。
たぶん、いつものイジメなんだろう。
少女はうずくまっていたが、笑いが収まるとすっくと立ち上がった。
「言いたいことはそれだけかな。じゃあ、オレは帰るよ。どいてくれ。」




