ネコミミ
「何よ。人をバカにして。いろいろわからないことだらけだわ。ちゃんと説明してよ。」
美緒は霊界のこと、オレが閻魔大王後継者候補であることを簡単に話した。桃羅はしっかり者で、頭もよく、また偏見がなかった。なにより霊感が強く日頃から心霊現象に出会っていたので、幽霊を怖がることもなく、美緒の話を十分に理解した。
「なるほど。そんなことになってしまうなんて、お兄ちゃんかわいそう。でも桃羅が旦那にもらうことは変わりないからね。」
(こんな時に言うセリフじゃねえ。なんとかしろ。)
由梨の口を借りて都が話す。
「ちょっと、あたしの頭で勝手に遊ばないでよね。」
本体である由梨が間に割って入ってきた。
「さっきからガチャガチャ言ってるけど、あなた誰?」
「この姿を見たらセレブにしか見えないでしょ?ふふん。」
「はあ?頭おかしいんじゃないの?お兄ちゃんが上に乗って、脳が破綻したのかしら?」
「セレブに向かって、なんてことを!都の脳が破綻しているのは正しい事実だけど。」
「ひどいわ。未来の桃の嫁兼メイドであるお兄ちゃんに対して。」
ついに、妹のメイドにまでなり下がった都。そもそも嫁じゃなく旦那じゃなかったっけ?腐女子の間ではアニメ女子キャラを嫁にもらうことはすでに一般化してはいるが。
「そうではないわ。都はあたしの下僕。上にあるのは気に入らないけどね。」
「おいおい、そんなことをやってる場合じゃないぞ。早く都を元に戻さないと。」
美緒が仲裁に入って会話終了。
「それはこの李茶土に任せていただきましょう。」
胸に腕を当てて恭しくお辞儀をする李茶土。
「それは具体的にはどうするのか?」
美緒が全員を代表して尋ねた。
「キスするしかありません。」
「どうしてそうなる?」
「言霊とは言葉に力が宿り、ひとり歩きすること。その力を削ぐためには、より強力な言霊。それは口から直接言霊を流すことです。」
「なるほど。でもネコミミになっている都はどうしたら?」




