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見られちゃった

オレは両手を隼人=絵里華の肩に乗せた。普通なら気持ちが悪くなるようなシチュエーションだが、隼人=絵里華は瞼を開くことはない。

 オレは表情を変えないまま、頭部を緩慢に自転させながら、隼人=絵里華へ接近させていく。ついに、台風が上陸するか?



「「「「待って~!!!」」」」

 由梨、万歩、そして美緒が絶叫して制止した。おや、声がもうひとつ?



「隼人の唇はアタシだけのものよ!」

『チュー!』

 やってしまった。実行犯は大きなリボンの主だった。嘘つき少女・真美である。



「「「・・・」」」

 三人は口をあんぐり。声が出なかった。



「「「ほっ。」」」

 一瞬の間を置いて、安堵の表情を浮かべた。三人はその場にへたり込んだ。

「はあはあはあはあはあ。やってしまったわ。こんな形でファーストキス。ううう。」

 なんだか、泣きそうな真美。



「・・・。・・・。・・・。あ。・・。あ・・・。あああ~。」

 隼人は犬のように腕を伸ばす。大きな欠伸。



「お、起きたぞ!」

 最も近くにいたオレが腹の底から大きな声を出した。



「「「ホント?」」」

 見守っていた三人もきつねにつままれた表情となっていた。



「あ、真美。おはよう。やっと目が覚めたよ。実にすがすがしい夜だ。」

 空には雲は無くなっている。それと共になのか、隼人は実にさわやかな表情である。霞がかっていた顔がクリアになった。ジバクであるが、顔の色は蒼白というよりは、純白という表現の方が正しい。



(あっ。)

 万?は思わず声を出しそうになったが、誰もそれに気付かなかった。



「どうして、どうして、眼が覚めたの?アタシじゃ駄目だと思ってたのに。」



「真美。久しぶりだね。って、そんな挨拶をしている状況ではなさそうだな。だいたいの事情は理解しているつもりだ。真美はオレを目覚めさせるのは、誰かのキスだと思っていたんだよね?」



「誰かって。そんなんじゃなくて、隼人が目覚めるのは、隼人が好きな女の子がキスした時だけだと思ってたよ。だから、アタシじゃ駄目だと・・・。」



「だから目覚めたんじゃないのかな。」



「えっ・・・。」



「そういうことだよ。」



「で、でも。隼人はあの娘が好きなんじゃないの?」



「あの娘?」



「アタシ、生前に見ちゃったんだよね。隼人が他の女の子と抱き合うのを。」


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