オレの支え
「よし、では作戦会議だ。」
生徒会室で美緒が号令をかける。
『シーン。』
誰も発言をしない。どうしたらいいのか、わからないのであろう。しばらく沈黙の時が過ぎた。数分が何時間にも感じられた。
「もう仕方ないわね。じゃあ、あたしがアイデアを提供するわ。」
立ち上がったのは由梨。なぜか、美緒、万?は安堵の表情を浮かべたように見える。まだ由梨は何も言ってないのに。
「こうすればいいと思うの。」
由梨の考えはこうだ。『本気で好きだ。』を言うのは基本的には無理である。嘘つき少女に対して愛がないのだから当然である。そこで、考えられることは、『洗脳』である。つまり、本人の意思とは無関係に、強制的に『好き』という感情を植え付けることである。由梨はもっと具体的に話した。
「都を洗脳して、嘘つき少女を見たら条件反射で、『好きだ』と言わせるように、特訓するのよ。あああ、言いたくなかったのに。まあ、こんな素晴らしいアイデアはあたししか、思いつかないけどね。」
「そうだな。くくく。」
「そうね。さすが由梨たん。天才だよ。感心感心。」
「べ、別に、これくらい当たり前よ。フンだ。」
顔をそらす由梨をにやにやしながら見る美緒と万?。初めからこの考えはお見通しか?
「よし、これで決まりだな。では特訓を開始しよう。名付けて『都を洗脳して、嘘つき少女・真美に好きだと言わせる大作戦』だ。」
すべて、オレの意思を無視してスタート。当然ながら、オレは美緒たちから遠く離れた場所で、廊下に立たされる生徒のように、心身ともに固まっていた。
(どうしてオレがこんなことをやらなければいけないんだ?生徒会長とは支持率が低迷してレームダック化した内閣のようなものか?)
とは言わないオレであった。立派。これぞ生徒会長。
さて、特訓の内容。それは真美の写真、つまり心霊写真を見て萌えるよう暗示をかけるものだ。
「きゃー!何これ!」
当然ながら由梨は怖がって、写真を直視することはできなかったが。
オレはひたすら写真を手にしては『好きだ』とお経のように唱えるだけ。ただ、その表情は苦悶にまみれている。でも特訓にひたすら耐え忍ぶ。
(絵里華を助けるためだ。これくらいは乗り越えないと。)
この思いだけがオレを支えていた。




