再会
無駄に照りつける太陽。
合唱を止めない蝉の鳴き声が一層暑さを感じさせる。
ここ最近の異常気象のせいで日が傾いてもこの始末だ。
こんな日はエアコンの効いた部屋でゴロゴロしていたいのだが
生憎、今日は中学の頃の仲間と会う約束で仕方なく出向いたという訳だ。
公園の時計を見ると、時刻は12時40分。
「少し早く着き過ぎたか...」
無意識のうちに口から出ていたんだろう。
「そうみたいね。ま、最初から時間通りに来るとは思っていないけれど。」
「......!?」
唐突に返ってきた声に驚き振り返ると
そこには見覚えのない美女が1人。
歳は...俺よりも少し上か?
「老けてて悪かったわね」
どうやらまた口に出ていたらしいな...
目の前の美女はというと、一瞬こちらを睨みすぐに顔を背けてしまった。
ん...?待てよ...
よく見るとどこかで見覚えが...
「もしかして..明日香か?」
「まさか本当に気付いてなかったの?」
「あぁ、悪い...ってお前変わりすぎだって!すげぇ綺麗になったな!」
明日香がなにかを言おうとした瞬間だった。
「夏木くーん♪」
背後から抱きつかれた勢いで(というよりタックルだ)顔面から地面に突っ込んだ。
「痛ってぇ..その声は莉菜か」
「大正解ー♪」
「正解はわかったからとりあえずどいてくれ」
盛大に打ち付けた顔面の痛みに耐えつつも抗議する。
ってか重いからマジでどいてほしいんだが...
するとどこからともなく聞こえる爆笑する声。
「ヤス、お前また懐かれてんのか。大丈夫かー?」
そう言いつつも笑い続けているのが将生。
で、その後ろに居るのが彼女の美香だ。
こいつらは中学の頃から付き合ってる。
長くは続かないだろうと思ってたけど...
結構上手くやってるらしい。
「遅くなってごめんねーっ!」
少し離れた階段を駆け下りてくる一見女子にしか見えない人影。
友紀 実はれっきとした男なのだが...
今日集まるのはこれで全員か。
時計を見ると13時15分。
やっぱり時間通りには集まらなかったか。