《第988話》『対妖怪装甲には、これだ』
上空の宇宙船――巨大浮遊大陸ムーより、呉葉の周囲にロボットが複数体下りてくる。四足で四本の腕と尻尾に銃口が付けられた機兵。両腕が長銃となった巨大機兵。
ラ・ムーがこの地球へと進行するに当たって作り上げた、対妖怪・異能用兵器達が、次々と補充される。
流石の呉葉と言えど、これらを攻略するのはかなり困難な筈だ。
『――行きナサイ、我がラ・ムーの誇る侵略兵器達ヨ』
その中でゆっくりと降りてきた、真っ白なローブ。それは古代国家ラ・ムーの生き残りバシャールの目と口を代行する機械だ。
「多勢に無勢、だな――!」
「バシャールの手下なんぞ知ったこっちゃねぇ――! 俺は俺で続きをやらせてもらうぜ!!」
正確に狙いを定め発射されるロボットたちのビーム。それは、呉葉の動きを大きく制限する。そこに、冀羅が容赦なく蹴りを叩きこんでいく。
「うっ、ぐ――!」
ビームが呉葉を掠るたびに、その肌から出血させる。対妖怪ビームは、鬼神相手であっても通用する。
加え、冀羅の動きもその速さは瞬間移動じみており、上下左右前後あらゆる位置から呉葉に襲い掛かっている。
「――ならば、これはどうだ」
「!」
呉葉の姿が、突然地面に吸い込まれるように消えた。――空間転移だ。
「っ、どこ行きやがった!?」
「ここだッ!」
「!?」
地上に巨大な影が刺す。冀羅が上を見ると、巨大な高層ビルが上空から落ちてきていた。
「ちっ!」
冀羅はその場から瞬間的に離れる。しかし、鈍重なロボット達は、落ちてくる巨大絵建造物に対応することはできない。
大地に、すさまじい衝撃が響いた。




