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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第二十三章
984/1022

《第986話》『記憶の顕現』

 僕は、場所を変えた。折角ならと、それにふさわしい場所に呉葉を移し、横槍が入ってこないよう周辺も整えた。


 その場所とは、ビル立ち並ぶ街のど真ん中。全ての生命を他所へ移し、今この場に居るのはかつて狂姫鬼と呼ばれた鬼神、樹那佐 呉葉だけになった。


 彼女の申し出を、僕は受け入れた。ならば、それに対して全力で応えてやろうと、そう思った。呉葉の性格を知っているからこそ、一切言い訳出来ぬ舞台を整えてあげたのだ。


「さて、一体どんなヤツを繰り出してくれるのだ夜貴よ」


 車の路駐されている大通りのど真ん中にいる呉葉。僕はそれを、いわゆる“神の視点”であらゆる方向から眺めている。


『もちろん、君が諦めたくなるような相手を出してあげるよ』

「いい気迫だ。これこそ、マジの夫婦喧嘩と言うモノだ」


 侵入者が大人しくなり、それだけに集中できるようになった僕は“それ”をもう一度この世界へと顕現させる。


「始めましてと言うべきか。否、久方ぶりと言うべきか、吾が同胞」

「――ほう」


 道路の奥から歩いて来るのは、かつてその美しさに心奪われ、そして僕自身の意志をその身に宿した悪魔。


 銀色の長髪をたなびかせる、漆黒のコートに身を包んだ魔界よりの使者・「名も無き悪魔」。


 彼女の力は、異質そのもの。例え呉葉であっても、ちょっとやそっとでは勝つことのできない相手だ。


「同胞よ。吾は争いたくなどないが、何故か今は無性に汝の命を喰らいたくてたまらぬ」

「そうか」

「故に同胞よ! その命、吾に――……、」


 だが、一瞬だった。


「すまんな、貴様如きの話に耳を傾けているほど暇ではない」


 空間転移から、一瞬にして背後を取って。呉葉は名も無き悪魔の頭を地面へと叩きつけた。

 恐ろしい破壊力が、周囲に波及する。道路にはガラスをピッケルで叩いたかのように亀裂が走り、周囲の建物が倒壊する。


「夜貴。まさか、この程度で終わるなどと言う事はあるまいな?」


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