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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第二十三章
983/1022

《第985話》『これが妾に出来る最善の事』

「つまりお前はお前で、意地でも妾の存在を認めず、そして己は孤独であると言い張るのだな?」

「…………」


 少し前の妾なら、そう言われただけで折れていたかもしれない。

 妾は、かつて狂鬼姫と呼ばれた鬼神であり、並大抵の妖怪等足元にも及ばぬ大妖怪。しかし、自分で言うのもなんだが、その心は人間と変わらない。


 なまじ大抵のことが自らの力と従えている妖怪達のおかげでどうにかなっていたため、対等な関係でのこう言うやり取りにはとんと経験がない。他のどの週であっても、ここまで大きな事態は起こらなかったと言うのも理由にある。


 だから、相手の望みは出来るだけ叶えてやりたいと心底願うし、否定されれば心底傷つく。故に、幾度となく世界の決めた“運命”とやらに飲まれそうになった。


「――そうか。よくわかった」

「そう。なら、よか――、」

「よろしい、ならば夫婦喧嘩だ」


 だが、今と言う今こそ違う。この瞬間は、それに真正面からぶつかり徹底抗戦を選ぶ。そう心に誓って、椅子から立ち上がり夜貴から距離をとる。


「――なんだって?」

「ルールはこうだ。夜貴、今からお前はお前が最も強いと思う存在を作り、妾に差し向けろ。妾が途中で折れたらお前の勝ち。折ることができないと思ったらお前の勝ち。至極単純で明解な方法だ」


 それが、妾の。夜貴と共に在ると決めた妾の、使命だからだ。寝ぼけていた頭が、ようやく覚醒した。


「随分と、一方的にルールを定めていくんだね」

「夫婦喧嘩は戦争とは違う。互いの納得する土俵で、全てを曝け出すのが夫婦の喧嘩と言うモノだと妾は思う。それとも、このルールでは不服か?」

「…………」


 だから、妾らしい方法で全てをぶつける。


「――いいよ。君はこう言う時、約束を破ったりしないのは知ってる。僕が勝ったら、潔く世界は終わらさせてもらう。……なぜか丁度、侵入者も大人しくなったことだし」

「フッ、そう来なくてはなァ! 準備は出来ている、いつでも来いッ!!」


 他の誰であろう、夜貴のために。


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