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《第984話》『話が通じないわけではない』
「ち、近づけないでくださいそんなもの!?」
『クサヤ! クサヤ! クサヤの音頭!』
臭ってくる干物離れた位置からでも。156枚程それがおよそ。肝心の本人はじりじりと近づいて来る、怪人の周囲を舞いながら。
明らかに異質でしたそれは。ただなまら臭い物体を近づけてくる、殺気も何も無いのに。だからこうやって後ずさりせざるを得なくなっている、気が引けてそんな気もないのに斬り返すのは私としては。
『そこなお嬢さん、安心したまえ』
「はい?」
『このクサヤ、なんと』
「!!!?!?」
ぶわっ! と、たくさん何かが――、
『あと782枚ある』
「ひぁあああああああああああああああああああああああああああっっ!!?」
こんな世界もう嫌です! ありません言ってる場合では壊すだのどうの!
『世界はじきに安定を迎える。それを邪魔することは許されぬのだ』
「安定――?」
『汝、矛を収めよ』
「? あるのでしょうか何か」
この怪人。なのだろうあの人形少女の操る人形、おそらくだが彼は。
意志あり会話の。メッセージだろうかイヴからの。




