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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第二十三章
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《第981話》『力説』

 呉葉は、責めるようでもなく。憐れむようでもなく。まるで子供を優しく諭すかのような優しい眼差しで見つめてくる。彼女の方が、子供みたいな体格なのに。


「――何度も言うようだけど、君には分からないからそう言えるんだよ」

「果たして、それはどうかな? 夜貴。お前はこう言いたいのだろう? 例え一時楽しくても、所詮それは瞬く程度の間の事に過ぎない。ならば虚しくなる前に終わらせてやろう、と」

「――どうしてそれを?」


 机を回り込んで、僕の隣へと呉葉はやってくる。そして、手近な椅子を引くとそれに腰かけた。


「夜貴の事だからだ」

「――っ、」

「なーどーとー言い切れたなら、それはそれはとてもカッコよかっただろうがな」

「えぇ――?」

「単純に、妾にも似たようなところがあったからだ。妾の年齢は覚えているか?」

「おおよそ1000歳、だね」

「まあ、正確に数えてなどおらぬから、それくらいだ。と、時々言ってきた。とんでもなくババァとか言ったヤツは殴る」

「誰に言ってるの――」


 1000年の時を生きた鬼。確かにそれは、人間の身から比較すればとてつもなく長い時間だろう。だが――、


「だが、自分はそんな時間すらも及ばない程の時を巡って来た。だろう?」

「…………」

「確かに、妾とお前とでは大きな時間の差がある。だが、その僅か1000年の間でさえ、生きることに飽いた事は何度かあったよ」

「――その都度楽しみを見つけてきた、だからお前もそうしろ、とでも言うつもり? 最初の話に戻るようだけど、だからこそ僕は、」

「だからこそッ!!」

「!?」


 突然、呉葉は大声を上げた。流石の流石にびっくりした。


「な、何――?」

「先ほどの、結婚の話に戻るのだァッ!」


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