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《第976話》『自分達にとって大切な事』
「これは世界がどうとか、そう言う話だけど違うとも言える。あんたが、夜貴をどうしたいかって話よ」
「それは――……、」
空では、さらに戦いが激化していた。青空は怪物に覆いつくされ、地上には影が差す。一方、世界の外よりの来訪者はもはやその動きが目で追えない程である。
「前の世界の週で、あんたは夜貴が何処の誰とも知らないヤツに殺されるのを嫌がって、あいつを殺そうとしたことは知ってる」
「…………」
「でも本当はそんな事なんてしたくなかったことも分かってる。そして今、あんたはどうしたいのよ?」
妾の、したい、こと――?
「――妾は、夜貴のために、」
「言っとくけど、滅ぼしたいってのはナシだから。それは、大切なヒトが目の前で自殺しようとしているのに、その背中を押すことよ」
「…………」
「その行為そのものが誰にどう思われるかなんて知らない。ヒトから見れば非難されることかもしれないし、仕方ないと容認されるかもしれないけど」
妾、は――……、
「あたしなら、ひっぱたいて喝入れてでも止めるわ。だって、死んでほしくないし」




