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《第975話》『もっとストレート、もっと単純なこと』
「何が言いたい、静波多 藍妃」
夜貴の幼馴染が、妾を睨み付けている。じっとこちらを映すその瞳は、射貫かんとする程の意志の強さがある。
「極端な事言うようだけど、述べさせてもらうわ」
「――?」
「世界がどうのこうのって、めっちゃくちゃ下らないんだけど」
「…………!?」
「――何?」
こいつ――と言うか、こいつらは、世界が滅ぶのを止めたいからここへ来たのではないのか? その筈なのに……なん、だ? 下らない、だと?
「だって、わたしにとって。あんたにとって、最も大切なのは何よ。理屈とか状況とか全く抜きにして、大切なものは何と聞かれて、開口一番に答えるべきものは何よ?」
「――っ、それは……」
静波多 藍妃の言葉に、思わず言葉を詰まらせる。
「そもそもこれは誰の問題なのよ。大事な事忘れんじゃないわよ。だって今世界は、」
「…………」
「夜貴そのものでしょ!?」




