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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第二十三章
963/1022

《第964話》『鬼のパンツは白色パンツ』

「天誅!」


 屋根の上を跳ねて逃げ回る不審者へと一気に追いすがり、妾は全力で拳を突き出した。

 その一撃は、山さえも激しく衝撃の貫通する打撃。まともに喰らえば消し飛ぶ、鬼神必殺の殴打である。そこ、ただ殴ってるだけとか言わない。


「デュフフッ」

「何!?」


 叩きつけられる力とは、腕を振るう速度に比例する。しかし、その神速の拳を、丸い不審者は神一重で躱してしまった。

 そればかりか、空中で側転し、カメラを構え出す。


「カシャリ」

「!?」

「デュフフッ、しぃ~ろぉ~」


 妾は普段、丈の短いスカートは穿くかない。と言うか、1000歳でそれは流石に痛々しいと思うので、足首までの長さの品のあるモノを穿いているのだ。

 だがこいつは、逆さまになることによって、そんな長いスカートの下のそれ向けてフラッシュを焚いたのであり――……、


「いい加減にしろォッ!!」


 ぶっちゃけ、その技術をもっと他の事に使えばいいのに! という思いを妾は抱く。

 その想いと共に、カメラごと吹き飛ばす妖気を――……、


「デュフ? デュッフゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウッッ!!?」


 突如物理法則を無視した動きで吹き飛んで行く怪人。カメラを抱えたまま、その姿は山の向こうまで弾き飛ばされてゆく。


「呉葉ちん! こんなところで何やってんだい!」


 声に振り返ると――そこには、クラウディア・ネロフィ。平和維持継続室戦闘員きっての実力者であり、友人でもある赤毛の女が、刀を肩にかけて立っていた。


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