《第960話》『終末回避は人頼み』
二之前 イヴを先頭に、街の中を歩くわたし達。幼女の後に続くわたしとゴスロリ少女、もう一つおまけして変な女。他人が見れば、凄く意味の分からない構図だろう。
「樹那佐 夜貴が出勤したのは街の定点カメラの映像から分かっている。だから、いま彼らの自宅には、樹那佐 呉葉しかいない」
「つまり、この隙にあの鬼神に前の世界のことを思い出させるわけね。そうすれば、世界は滅ばずに――」
ここまですごく簡単なように言ってのけているし、実際わたし達はほとんど何もしてないのだけど。この状況に至るまでこの幼女は、どれだけ先を考えた上で行動しているのだろう。
「さて、どうだか、ね」
「どう言う事よ?」
「だって、思い出させたところで根本的な解決はしないんだよ? 世界は滅びを望んでいることに変わりはないし、樹那佐 夜貴と同化している世界の意思が、それを知って何かしないとも限らない」
「……――呉葉の意志で、変わる」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ? あんたの頭脳で滅びは止められないの?」
「あっはっは、勘違いしてもらっては困る。ボクは所詮、一人のちっぽけな幼女なんだよ? 土壇場の危機回避は間に合わせられても、それ以上のことができるわけじゃない」
「さ、最後は人頼み――」
――それとも、何も考えていないのだろうか。わたしには、まるで何も分からない。
「ただ、樹那佐 呉葉への接触が世界に察される可能性もあるからね。事を進めるには、慎重にならねばならない。そのため、今から会う方法も一つ手段を考える必要がある」




