《第956話》『ゆったりのんびり』
「やあ、遅かったね、静波多 藍妃。紅茶も随分冷めてしまったよ」
駅周辺の喫茶店。その店内で待っている女の子二人の元へと、わたしはたどり着く。
だが、その待ち合わせ場所は本来と違う場所。突然、端末に変更の知らせが届いたので何事かと思えば――、
「突然待ち合わせ場所変えないでくれる!? こっちだって突然時間を空けることになるから謝り倒して来てんのに!」
「だからこそ、のんびりここで遊と一緒に待たせてもらったさ。ねぇ?」
「……――ほんのり塩味」
「それは砂糖と間違えてテーブルの塩瓶を取った君が悪いよ」
この幼女、ホントに相変わらず幼女なのか本当に怪しいんだけど! と言うか、聞けばあの鬼女の従者の孫って聞くじゃない? それに――……、
「ねぇ、わたし協力者がもう一人居るなんて、聞いてなかったんだけど?」
「私はペスタ・エプティと申します、静波多 藍妃さん。はろはろ~」
「ああ――そいつは観葉植物か何かとでも思っておけばいいよ」
「酷くないですか、えっ?」
一目で見て異様と分かる、二之前 イヴの隣に座ってお冷を啜っている女。その雰囲気は、夜貴がうっすら帯びている独特の雰囲気をより強烈にしているようにも感じる。
「――まあ捕捉しておくと、怪しいヤツだし、実際怪しいのだが、邪魔をしてくる様子は無い。放っておいてもいいと思うよ」
「怪しいのに放っておいてもいい――? ちょっとあんた、何言ってんのよ……」
「今ボクらが世界の変化に気づいているにもかかわらず、何もしない。だから――と言うのは遊にも言ったね。どの道、コレには誰もどうしようもないだろうさ」
「にっこにっこ」
無邪気そうに微笑みを浮かべる、プラチナブロンドの女。――凡人のわたしには、やっぱり不安要素にしか見えないんだけど?




