《第953話》『人形少女との合流』
「これはお可愛らしい、あなたと同じく、あら」
ペスタ・エプティは、待ち合わせていたボクの協力者を見るなり、その頬を朱に染めた。まるで、少女がビスクドールに見惚れているかのような表情である。
「やあ、遊。前世? 以来だね」
「……?」
遊はすぐそばでテンションの高い女を指指し、顔を傾げて見せる。誰だこいつ、と言う事だろうが、正直ボクもこの女が何なのかはいまいち把握できていない。
なお、ペスタが見えているのは、現在においてもボクと遊だけのようだ。待ち合わせ場所はとある駅の出口近くとしておいたのだが、行き交う人々は背の低い遊にのみ視線を向けている。――分かっていたことだがこの人形少女、大層目立つね。
「まあ、安心――できるかどうかは分からないけど、害はないよ多分。妨害するつもりなら、突然現れて付きまとうより、もっと賢い手があるだろうからね」
「かわいい、ん~!」
「――邪魔」
「いけずぅ、あぁん!」
遊は呆れた眼差しで、ペスタの顔面に張り手を喰らわせる。――けど、なんだかね。二人共ゴシックドレスだから、場所さえ選べばすごく絵になるとボクは思うんだけどね。
「さて、もう一人の方も迎えに行きたいところ――だけど」
「……?」
「彼女は彼女で、忙しそうな身だからね。おっと、君と狼山が働いていないと言いたいわけではないよ。ただ、別支部の方はどうにも、人手不足かつ実力不足らしくてね。さてさて、この時間帯はどうなのやら」
あらゆる可能性を考慮し、選んだ二人。可能な限り、世界の崩壊を防ぐためには揃えておきたい人材だ。
替えが効かない、と言うのは本当に厄介な問題だよ。




