《第951話》『改造リュックサック(くまさん)』
「さて、そろそろ動くとしようか」
ボクは自室で準備を整えて、わざとそう口にする。それは、今自身に付きまとってくる女へと自らの意思を伝えるためだ。
「目標はどう言ったモノでしょう?」
「とにかく、世界の終焉を止めるのが第一目標、かな。多少の犠牲もやむ無しと考えさせてもらうよ」
「手荷物が少ないのでは、その割には」
そう言って女――ペスタ・エプティは目を丸くしている。確かに、今背負っているモノは幼児用リュックサック1つ。くまさん柄だ。
「ボクはか弱い幼女だからね。重たいモノは少々難しいのだよ」
「中は次元の裂け目に繋がっているようですが、まあ」
「このサイズは軽量だが、容量に問題があるからね。少し弄らせてもらった」
ほぼ無限に入るようになったリュックサックを背負い、ボクは部屋出入口についたつまみを捻る。
「――何をしていらっしゃるので?」
「幼女が一人で無断外出など、父や母が許す筈がないだろう」
つまり、このつまみを調整して座標を設定しているのだ。いわゆる、某青だぬき漫画のどこでもなドアのようなモノである。
まずは仲間達と合流。話はそれからだ。




